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藤田愛理はロックだった/藤田愛理生誕祭2023〜すき??すき?すき!!〜

別にロック好きでもないし「ロック」の定義も満足にできないのにそんなことを言うと、ロック好きのおじさんたちに怒られるかもしれません。けれど、それが「レジスタンス」「逃げないこと」「戦うこと」であることだとすれば、間違いなく昨晩の「藤田愛理はロックだった」と思うのです。

開演前

2023年5月24日は藤田愛理さんの21歳のお誕生日にして、渋谷WWWでの生誕ライブ「藤田愛理生誕祭2023〜すき??すき?すき!!〜」が開催される素敵な一日、最高の夜でした。
アイドルの生誕ライブって、もしかしたらよく知ってる人とまったく知らない人に分かれるイベントかもしれないですね。参加したことのない方には、いったいどんな雰囲気か想像しづらいでしょうか。

主役となるアイドルによると思いますが、生誕祭にはもちろん「おめでとう」があふれているし、それ以外にも「かわいい」や「楽しい」、それに「きれい」とか「かっこいい」もあるのかな。とにかくいろんなポジティブで素敵な感情があふれる場、それが生誕祭かもしれません。

この日のあいたんの生誕祭も、それはそれは「かわいい」や「すき」があふれる素晴らしい空間でした。#あいたんすきすきすき で検索してもらえれば、素敵な写真でその一端は感じていただけるのではないかと思います。
でも、そんな風に明るくてやさしい、ふわっとした感情だけだったかと言うと……実はそんなこともないかもしれません。

ライブは開演前、入場時点からある意味始まっていました。

開演を待つあいだ、会場に流れる音楽はこれまであいたんがtwitterやスタコミュ、インターネットラジオのstand.fmなんかで紹介してきた曲の数々。なんで分かったかといえば、それらの楽曲をプレイリストにまとめて日頃ちょこちょこ聴いているからなんですが、歌詞派を自称するあいたんだけに、切ない想いを感じさせるような曲が多めで、彼女が日頃から想いを伝えることを大切にしているかが、そんなところからも伝わってきます。

そしてメンバー兼藤田愛理バースデーサポーターのりなてぃー、いぶいぶ、さほるん、みぃあちゃんの生影ナレ(たぶん)。注意事項を伝えつつ、観客の歓声と掛け合いをしながら、会場の空気を盛り上げていきます。

そして始まる藤田愛理生誕ライブ

チェリーブロック

ステージの上には大きなテーブルとプレゼントボックスやクマさんのぬいぐるみ。そしてそこには赤と黒の色合いが印象的なあいたんが腰をおろし、さくらんぼのデコレーションが鮮やかなバースデーケーキをもぐもぐ……しようとすると、始まる一曲目のイントロ。
あいたんが「チェリーブロック」と名付けた最初のブロックは、かわいいに満ちた世界が広がります。

このブロックを構成したのはあいたんがポッパーからのリクエストも参考にしながら選んだ3曲。
1.さくらんぼ(大塚愛)
2.可愛くてごめん(HoneyWorks)
3.あたしを彼女にしたいなら(コレサワ)

とくに「可愛くてごめん」はリクエストが多かったとのこと。

自分がかわいいことを知っていて相手にちょっと強くアピールしてみたりするんだけど、それでもどこか不安になるところもあって、相手の気持ちも確認してみないといられないような、それでもその不安さを気づかれたくないような……。

そんなかわいらしい心があふれたような楽曲群です。

あいたんの装いも、髪飾り、黒と赤の重なり合いが印象的な洋服、スカート。全身の至るところに大好きなさくらんぼがあしらわれた、すごくかわいい衣装。見ているこちらも「かわいい」と自然と口について出そうなほど、かわいいが渋谷WWWの中に充満していきます。

そういえば、今回の生誕祭。事前告知となった5月13日のTikTokライブで、あいたんはサブタイトル「すき?? すき? すき!!」について

「最初の『すき??』は不安、次の『すき?』は確認、そして最後の『すき!!』は確信をイメージしている」

という話がありました。
最初のチェリーブロックの3曲は「かわいいでしょ」と自分をアピールしながらも、どこか心細くて相手の気持ちも確認したい。そんなかわいらしい「すき」があふれたブロックだったのかもしれません。

「みんな来てくれてありがとう。わたし全体がさくらんぼみたいなかわいい衣装にしてもらいました。どうですか?」と、ステージの雰囲気、あいたんの雰囲気そのままに、かわいらしい声、かわいらしい表情での、かわいらしいあいさつ。
いよいよ「藤田愛理生誕祭2023〜すき??すき?すき!!〜」が加速していきます。

ブラックハートブロック

次は「ブラックハート」のパート。そのテーマからして、「かっこいい」が予想されるブロックです。
4.ハート型ウイルス(AKB48)
5.Lady Cat(佐々木彩夏)
6.「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?(Juice=Juice)

スタンドマイクを使って、おしゃれに「ハート型ウイルス」を一人で歌い上げると、しばし暗転。そして、この日のための赤いTシャツ(チェリーとハートがワンポイントに入ってる)に身を包んだクラポメンバーとともに、衣装が若干変化したあいたんがステージに入ってきます。
YouTubeで予告動画もあったように、つい先日、あーりんとともに横浜アリーナで披露した「Lady Cat」。さっきまでチェリーづくしだったあいたんが黒い猫耳と尾をはやし、おしゃれな猫となって現れました。

あいたんが歌う「Lady Cat」に合わせて、しなやかに踊るりなてぃー、いぶいぶ、さほるん、みぃあ。(配信で見た)AYAKA NATIONとはまた雰囲気が違う、少ししなやかなかっこよさが感じられるようなパフォーマンスです。

そして「『ひとりで生きられそう』って それってねえ、褒めているの?」は、さほるんの歌いだしから始まってのグループでのパフォーマンス。
今、歌詞を見ながらこれを書いてるんですが、強気なようでいて、ひとりで生きられそうでいて、それでいて内面には意地っ張りな弱さを抱えている寂しがりやな女の子。
ここまでちょっとかっこよくスタイリッシュに決めてみたけれど、やっぱり「すき?」と確認したい。かっこいいがあるからこそ、心の奥底に潜むかわいらしさも際立ってくる。ただただかわいいだけじゃなくて、多面的で複雑で、かっこいいやかわいいが重ね合わされた女性の繊細な魅力。

このブロックからは、そんな想いがあふれていたような気がします。

トーク

ちょっとトークのタイミングの記憶が定かではないんですが、ここでだったか、あるいは「『ひとりで生きられそう』って それってねえ、褒めているの?」の前だったかで、猫あいたんは再びのお着替えタイムでした。
メンバーが各々「愛理の好きなところ」を話して、主役不在の間も盛り上げてくれます。

りなてぃーが話すあいたんの好きなところは「何か食べてるところがすごくしあわせそうだし、何よりぷるぷるのくちびる!」とのこと。
いぶいぶは「よく見せる、(顔をくしゃっとさせながら)ん〜っていう顔をしながら、かまちょしてくるところ」
さほるんは「なんでも聞いてくれるところ。私だけの特権かもしれないけど」
みぃあは「さわるともちもちするところ。(手をにぎにぎしながら)こうすると水が染み出してきそう。もはや水っていうぐらい」(←「さわるって、こう(握る)なんだ(笑)」byりなてぃー)

しゃぼん玉ブロック

そんなトークが終わり現れたあいたんは猫耳をはずし「CROWN POPといえば、やっぱりこれだよね」と頭に王冠を乗せて、そして、やはり尾をはずしたショートパンツの周りにはふわふわしたチュール。ステージは3つ目のテーマ「しゃぼん玉」ブロックへと移っていきます。

7.君色ロード
8.キミリプホリック
9.愛のバトン(山本彩)
10.虹(Aqua Timez)

チェリーパートは「かわいく」、ブラックハートパートは「かっこよく」と本人からも解説がありましたが、この「しゃぼん玉」パートに関しては、当日のステージでのあらためての説明はありませんでした。

「わたしたちが作詞した曲を聞いてください」と、(たしか)いぶいぶの曲フリから流れるのは「君色ロード」のイントロ。

大丈夫 君なら どこまでも走れるはずだよ
揺るがない 今があるから

CROWN POP「君色ロード」

この日はじめてのCROWN POPの楽曲は、聴く者の心を揺さぶるようなエモーショナルなものが多いクラポ曲の中にあって、「君」と自分の絆を特に強く現している胸に響く一曲でした。
そして、そのまま「キミリプホリック」。

期待と不安の交差点 はじまりの予感
「会いたい」 きっと届け!

CROWN POP「キミリプホリック」

5人歌唱バージョンへリニューアル後、歌われる機会も多いこの曲も、「キミ」と自分のあいだに流れる想いにフォーカスした一曲。「フタリモノガタリ」はベタな単色ではなく、「期待と不安」のようにさまざまな想いが交ざりあい、複雑な色合いを生み出しながら「すき」を描きだしていきます。

「すき?? すき? すき!!」と心が揺れ動くこのライブ全体の世界も、もしかしたらかわいいパステルのほんわかした色だけじゃないかもしれません。寒色もあるかもしれない。不安の影が色濃い暗い部分だってあるかもしれません。アイドルの生誕祭というその場で、かわいらしい衣装に身を包み、かわいらしい笑顔を見せながら、かわいらしい声で歌う藤田愛理さんは「アイドルなんだからかわいければいい」というステージで良しとはしなかった、そんな気がします。

心の物語には、それがたとえかわいらしい想いだったとしても、必ず影さす部分があるものです。むしろ影さすからこそ、かわいらしさが際立つこともあるでしょう。

ファンが集まって、かわいい姿を見に来るアイドルの生誕祭。本来ならばかわいい曲だけ並べて「かわいらしい」を見せておけば、それで成立するかもしれません。けれど、そうではなく寒色めいた想いもぶつけてくる。しかも表向きはかわいらしい一色で染まっているように見せながら。自分が「藤田愛理はロックだ」と感じたのは、その覚悟でした。

それは藤田愛理さん自身の想いでもあるかのようです。
ファンからの「すき」をつねに感じながら、もしかしたらいつか「すき」じゃなくなるんじゃないかという恐怖を抱えてるのかもしれない。本当に自分のことを「すき」でいてくれてるのかなという不安を感じているのかもしれない。
あるいは自分の「すき」が相手にちゃんと伝わってるのかなという心配もしているのかもしれません。

人は何かを好きであればあるほど、大切に思えば思うほど、それを失ったときへの恐怖が強くなるものです。しゃぼん玉がきれいに輝きながら、幻想的に空へ飛び立っていったとしても、それはすぐに割れてしまうかもしれない。きれいだなと思えば思うほどに、いつまでもそのまま空をのぼっていってほしいと願いたくなります。

あいたんは、この夜の生誕ライブで、ライブハウス全体を「すき」で充たしながら、そこに不安や恐れがセットになっていることを示してみせました。
山本彩さんの「愛のバトン」は、

目に見えない胸の愛は
分けるほど増えて行くよ
失うこと 怖がらないで
君に渡すよ 愛のバトン

山本彩「愛のバトン」

と、愛を受け渡しあうという、互いを想い合う小さな力で自分たちの世界は成り立っていくんだという切な想いを歌う曲です。あいたんの不安も、我々が彼女と「すき」の渡しあいをしながら、その量を増やしていくことによって、少しずつ色を薄くしていくのかもしれません。

本編最後の曲は「虹」。この曲のラスト

二つの空がやっと一つになって
僕らを走らせるんだ

Aqua TImez「虹」

と歌い終えアウトロに入ると、まず舞台上手に立ち客席に向かい一人ひとりの顔を確かめるように、ゆっくりと我々に視線を届けるあいたん。中央へ、そして下手へ。この場へ来てくれたすべての人の顔をひとつだって見逃さない、全員の目をしっかり見て「すき」を届けるんだ。そんなやさしいやさしい気持ちが、客席後方の高いところに立つ自分にもしっかり届いてきます。間違いなく、しっかりと届いてきました。

本編最後のあいさつでは
「今日は会いに来てくれてありがとう。力をくれてありがとう。わたしもみんなに力を届けられるように、この場所で歌って踊っていくから」
と、正確な文言ではありませんが、一言、一言、ゆっくりと言葉を噛み締めながら、そんなことを話してくれました。

ライブはその後、アンコールへ

アンコール

EC1.流星群(=LOVE) performed by 藤田中
EC2.未来
EC3.手のひらに青空

アンコール一曲目は藤田中の二人で「流星群」
その後のMCでメンバーも話していましたが、まさにいつも強い絆を感じさせてくれる二人のためのような一曲。あいたんがいてさほるんがいるし、さほるんがいてあいたんがいる。この二人じゃなければ感じられない、藤田中の素敵な世界。
昨年の生誕祭の振り返りで、たしか音源がなかったとかそんな理由でこの曲を断念した話を聞いたおぼえがありますが、今回は念願のパフォーマンス。ほんとに素敵でした。カバー曲ということもあって切り抜きで動画をアップしてくれるということもむずかしいでしょうし、(おそらく)もう見られないのが残念なぐらい最高でした。

最後の2曲はふたたびCROWN POP曲。
藤田愛理フィーチャー曲「未来」は、藤田中の二人がステージに残る中、いぶいぶ、りなてぃー、みぃあが順に、曲中一人ずつステージに出てきて加わっていく演出。
5人そろって、サビをユニゾンで歌う美しさ!!!!!

やっぱりCROWN POP最高なんですよね。メッセージ性の高い曲もすごく似合う、最高にかわいくて、頼もしくて、かっこいい5人。

最後はこれもすごくエモーショナルで、あいたんも「大好きな曲」と話す「手のひらに青空」。

繋いだ手のひらに青空
何度も書き足した未来図
絶対ひとりじゃ描けないような
わたしたちの物語

CROWN POP「手のひらに青空」

いつ聞いても、どこで聞いても、なんど聞いてもいいですね「手のひら」。
CROWN POPにはいろいろな「らしさ」があって、「クラポらしい曲は?」と10人に聞けば10曲返ってくるかもしれないと思うほど、表現力が豊かなグループですが、「手のひらに青空」はファンとの絆というよりも、むしろ5人の絆、一体感。CROWN POPのグループとしての美しさを感じさせてくれるような気がして大好きです。

最後の最後。6月、7月、8月の連続配信リリースやそれに伴うリリイベ(6月9日渋谷タワーレコード、同23日渋谷某所、同24日ららぽーと立川立飛(2部制))、6月19日のりなてぃー生誕祭、7月19日の誕生日当日いぶいぶ生誕祭の告知があった後でした。
メンバーから「『すき??すき?』のあとにみんなであいたんに『すきー!」!』って言おう」と提案があり、会場全体からあいたんにむかって
「すきーーーー!!」
のシャワー。

え〜、そんなことするの〜?という感じでにこにこ(にやにや?)しながら、ステージ上で一歩前に歩み出ていたあいたんの表情が一変。懸命にこらえながらも、涙を止めておくことができない様子。
「あいかわらず涙もろくてごめんね」と照れ笑いをうかべながら、ありがとうを述べる姿は、まちがいなく愛すべき存在であり、みんなが「すき」な藤田愛理さんでした。

自分は藤田愛理さんのことが大好きだし(唐突な告白)、想いを伝えているつもりではいるけれど、それでもいつも迷惑かけてないかなとか大したファンでもないし、うざがられてないかなとか、「すき」の影に、いつもいろいろな不安が顔をのぞかせてきます。

この日、渋谷WWWであいたんが「かわいい」や「すき」に隠れた不安を伝えてくれたことで、もしかしたら同じことを向こうも思ってくれてるかもしれないんだと、ちょっと不遜な感じもしますが、そんなことを思いました。傍から見れば、あんなに魅力にあふれていて、「ど平日」の夜にあれだけの人数を集める人が不安を感じる要素なんてどこにあるんだろうと思うけれど、それでもやっぱり「すき」の影には不安があるものだし、それはあいたんが我々をそれだけ「すき」でいてくれてることの証でもあるんでしょうね。

この夜、自分はこれまで以上に、あいたんと想いを共有しあっていくことの喜びを感じたし、これからも想いを届けていこうという決意を新たにしました。

ほんと、毎回同じことを言ってるけど、いつもありがとう。
これからもずっと好きでいます。想いを届けていきますから、よろしくお願いしますね。

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