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「受発注インフラ」という高い壁

「受発注を変革するインフラを創る」

というビジョンには、実に色々な意味合いを込めています。


「受発注」とは、文字通り「発注」と「受注」が融合された言葉として、広い意味では企業と企業のマッチングを意味し、発注する対象物は販管費から原材料費、人材から消耗品までとにかく幅広いのです。企業体における商行為の全てが発注と言っても良いのではないでしょうか。


「変革する」という言葉には、これまでの受発注の常識をディスラプト(破壊)したい、というスタートアップらしい挑戦の意味合いを込めています。


「インフラを創る」は創業時からあらゆるシーンで使ってきた思い入れの強い言葉として定着している感もありますが、言うは易く行うは難しです。私の挨拶文「アイミツが生まれたことで、企業はより良い場となる」でもそのイメージを述べているところですが、とてつもなく高い壁が立ちはだかります。


このアジェンダに取り組んでいくにあたり、少し前のことになりますが、企業での発注業務を担当する方々に向けて大規模なアンケート調査(ネットリサーチ)を行ったことがありますので、ご紹介していきたいと思います。

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これらのデータは一例でしかありませんが、発注業務の困難性が想像できるかと思います。


一口に発注と言えども、個人が財やサービスを購入するプロセスと違い、法人での発注・購買には上長への相談や稟議があり、企業リストアップから、業界や相場の理解、問い合わせ・資料請求、商談、稟議申請の為の資料作成、決済・支払と、長い旅路を経て、ミッションコンプリートとなるのです。「カスタマージャーニー」とはまさにこのことで、とても長い時間がかるのです。


その過程は、楽しいことは極めて少なく、「面倒な業務」だったり、「上長からの指示」だったり、「本来の業務ではない気だるさ」だったり、苦痛を感じることも少なくないと、ユーザーインタビューなどを通じて理解を深めています。


私自身は、5,000人規模の大企業の経理担当、1,000人規模のメガベンチャーの執行役員、200人規模の事業部長、そして、ユニラボでは30人程度のスタートアップと、ありとあらゆるステージの企業を経験し、実に多様な発注を経験させていただきました。

改めて、現時点でアイミツが提供している100以上のカテゴリーを見てみると、見積もりを取得したり、発注したりしたことがないカテゴリーを探す方が難しいくらいです。


一番難しいと思ったのは、人に依存する要素が大きい税理士の先生選びや、webデザイナー選びだったと思います。デザイナー選定においては、特に起業した直後は苦労をしたものです(数十人ものフリーランスの方々と面接しては、結局発注できないというという結果に陥りましたし、何度も失敗をしました)。これらのタイプのカテゴリーは、事前にあれこれ調べ尽くしても、結局、発注してみないと分からないという根幹の課題が大きいと考えています。


また、前職では、ソーシャルゲーム事業の群雄割拠の時代に、テレビCMや交通広告などのマスマーケティングの責任者として、年間数百億円という広告宣伝費を使わせていただくという貴重な経験をすることができました。元々、何の経験もない私が、電通や博報堂といった大手広告代理店の方々に囲まれ、四苦八苦しながら発注を進めていったことを記憶しています。


ビジネスシーン(B2B)における発注の難しさは、情報の非対称性という言葉に代表されるように、「どこが良いか分からない」、「いくらが適性相場なのか分からない」、というような悩みにあると思います。


相対取引(双方の合意によって金額が決定される)が原則の中で、アイミツのような仲介プレイヤーが存在することで、受発注の適正化を進めていくことをしたいと思うようになったのは、様々な発注に関する苦労の経験から来るものです。


食べログさんのように「3.5点以上は優良店!」などの格付けができたらどんなに発注が便利になるだろうか、と考えています。チームアイミツが取り組む壮大なるプロジェクトの先に、発注業者の評判や実績のデータベース化も挙げられます。


長い道のりにはなりますが、お客様の声に耳を傾け、愚直に取り組んでいけば、自ずと「受発注インフラ」への道は開けるだろうと信じています。

※こちらの記事は、2017/11/24にユニラボ公式ブログで公開されたものです。

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