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思い返せば、今から3ヵ月前の昨年12月は、全社員で小樽を訪れていました。

公式なイベントとしては弊社初めてとなる社員旅行の行き先に、真冬の北海道が選ばれたのは私の地元だからというのもありますが、弊社社員の大多数が、(私が知る限り)お寿司を大好物に掲げており、食いしん坊だからでしょう。東北の銀山温泉、九州の別府温泉のほか、星野リゾートで本物の接客業を学ぼうといった、それぞれに想いがこもった4つの旅行プラン(選択肢)から、投票にて小樽・札幌グルメツアーが選ばれたのでした。

小樽

※2017年12月16日小樽市の宝すしさんにて(ネタをすべて食べつくしてしまう私たち…)

この社員旅行が、今年度の幕開けだったと感じています。毎日顔を合わせるメンバーですが、こうやって東京を離れて、日常とは別な空間、時間を共にする体験そのものが、次につながるエネルギーになったことと思います。何年か経ったときに、この社員旅行を原点として振り返ることがきっとあると確信できるほどの、忘れられない思い出となりました。


今年はサービスにおける最重要課題として掲げる4つのKPIを基準として、各役員が統括する4つのプロジェクトチームに組織を編成しました。その1つとして、私が今年1年間を投じようと決意したのが、「UX改革」であり、サービスを原点に立ち返って磨き直すことです。


とある有名なUXデザイナーが、twitterでサービスデザインが扱う3つの領域を定義していました。そして彼いわく、(1)に重心が偏りがちな人が多いけれど、(2)(3)がとても重要であると。

(1)満足してもらえるか(UXデザイン)
(2)儲かるか(ビジネスモデル構築)
(3)できるか(組織・オペレーション設計)

我々のチームは、ここ数年、このプロセスを小さなセグメントでぐるぐる実証実験し、確かな手応えと一定の成果を得ていました。ただその前提となるUXデザイン(満足してもらえるか)については、最高ランクの確証を得られぬままに、試行錯誤を繰り返しながら進めてきたところがあります。結果として、顧客体験を構成するすべての要素で、「何となくの合格ライン」という水準に甘んじてしまっていたのです。


なぜ今そこに着手したかと言えば、以下の2つの理由でタイミングも最適だと考えました。


1つ目は、昨年度、事業全体で通期黒字化を果たしたことにより、そこに投資する余裕ができたことです。弊社は自己資本で踏ん張りながら、少しずつサービスを改善してきましたが、本来はもう少し早く取り組めれば良かったと思っています(他のスタートアップが何億円という赤字を出してもお金で時間を買い、壮大な実証実験を行っていることは承知していますが、弊社の経営方針がそうなっていないため、このような歩みが当たり前になっていたのです)。


2つ目は、チーム力の問題です。UX改革には全員の深い同意が求められるのは当然として、各自が自分の現場で変える力(やりきる力)も必要です。特に弊社のようなプラットフォーム型事業では、関係するプレイヤーも多く、webサイト、コンシェルジュ、マッチングする受注者企業がいて、サービスプロセスで複雑に絡み合って、顧客体験を作り上げています。

顧客体験を「変える」と口で言うのは簡単ですが、実際に「変わった」と感じていただけるまでには、想像以上の努力が必要になります。


1年前に比べると、コンパスで掲げた「本物コミット」や「チーム主義」を皆が理解し、1人ひとりの持ち場でしっかりやり抜くといった文化が、確実に根付いてきたと思います。昨年後半に中途でジョインしてくれた実力者たちがトップラインを引き上げてくれたお陰で、若手メンバーも以前よりも独り立ちしていると感じます。

アルバイトで手伝ってくれているメンバーの成長にも目覚ましいものがあり、これまでにはない一致団結の手応えを覚えてます。今こそ、変えていくときなのではないかと思い、今年の全社スローガンは「UX元年」としました。

原点に立ち返る中で、最初に着手したことは、全スタッフが同じ目線を持てるペルソナの設定です。

<ペルソナ設定の理由(弊社定義)>
1.サービスを通じてユーザーに対する共通の理解を持つため
2.ユーザー中心の発想力を手に入れる
3.何でも言い合えるチームになれる


ペルソナ、すなわちサービスのターゲットとなる「象徴的な顧客像」を言語化してからというもの、弊社の会議ではこのペルソナを中心に、サービスを考えるシーンが各段に多くなっています。この調子で、新しいコトづくりを提案し続けられるサービスカンパニーを目指していきたいところです。


この過程で、私自身もユーザーインタビューに参加しましたが、弊社のマッチングシステムが思った以上にしっかりしていることに驚かれているお客様がいたことが印象的でした。お客様に見える部分(表舞台のインタラクション)ばかりを飾ろうとせず、舞台裏のインタラクション(サービスを構成し、提供するために必要なプロセス)の付加価値もしっかりとユーザーにお届けすることの大切さです。

サービスというのは難しいもので、得てしてこちら側の意図がしっかり伝わらず、コミュニケーションの難しさとも似ていると感じます。お客様のフィードバックも、数字の平均点(やその推移)だけ見て実態を把握することはできません。その深層心理の解明については、自分が顧客対応の現場に立たなければいけないと今では強く思います。

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※信頼されるサービスとは?についてブレストして発表している様子

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※発注を任される人ってどんな人?どんな感情を抱いている?をチームでまとめて発表している様子

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※ペルソナを考える中で抽出されたユーザー像の一部

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※発注を任される方の特性をまとめた感情マップ

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※アイミツのペルソナ誕生の瞬間、皆が真剣な眼差しで見守っていました

ペルソナのほかにもいろいろな検討タスクフォースを走らせています。ふわっとしたまま定義してこなかったこと、顧客体験の各プロセスにおける歪みを徹底的に問い正し、考えを深めていくのです。


例えば、サービスの根幹となる「コンシェルジュ」の理想像や心得(まさにビジョン・ミッション・バリューといったこと)を再定義する中で、今できていないこと、やれていないことを明確にしました。

今の何倍ものスタッフがこの業務を担っていくだろう未来において、どのようなレベル感のコンシェルジュサービスを提供していたいか? それをビジョンとして言語化したのです。発注のプロフェッショナル、お客様の課題を共に解決していくパートナー、などの言語で定義され、最後は「究極のパーソナルサービス」という言葉で締めくくられています。


以下は、社内向けのスローガンではありますがコンシェルジュとしてこうありたい、という心得を言語化したものになります。弊社のCIでもあるリボンマークが意味する「誠実な気持ち」そのままにリボンと表現しました。

<コンシェルジュのリボン>

発注のプロフェッショナル
・問題の本質を理解し、あらゆる手段を尽くす
・向上心と探究心を持って、常に情報収集に努める
・お客様の成功に責任を持つ

真のホスピタリティ精神
・お客様と誠実に向き合い、親切・丁寧に対応する
・期待を超えるスピードを徹底する
・究極のパーソナルサービスで、感動体験を提供する

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※皆で議論して、コンシェルジュのリボンを言語化しました

最近社内でよく議論されているのが、サービス事業者として「心から良いと思うサービス」を提供できているか?それは本物なのかどうか?について、迷いなく、全員がYes!と言えるかどうかです。

これまでは、そこに確たる信念がなくても、オペレーションが回っていたのです。これからは、すべての「現場」で、そのポリシーや信念を定義し、「サービス哲学」として磨き上げていきたいと考えています。

表面上は同じようなサービスだったとしても、確たる哲学があり、全員が実行する力を持っていれば、それは一朝一夕には模倣できないものに育っていくでしょう。それが、このサービスを運営する我々の原点として今後関わるすべての人が立ち返るものになっていくことを願っています。


ユーザー(ペルソナ)の課題解決のために、自分たちは何ができるか。

この四半期を原点として、さらなる高みを目指す終わりなき旅が始まったような気がします。

※こちらの記事は、2018/03/30にユニラボ公式ブログで公開されたものです。

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