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今日は「おむすびの日」おむすびの特許

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「今日は「おむすびの日」おむすびの特許」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact

 1.おむすびと聞くと?

 皆さまは「おむすび」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
 母が握ってくれたおむすび、自分が握って我が子に食べさせたおにぎり、おにぎり屋さんのおにぎり等、色々あるかと思います。
 
 私は職業柄、おむすびに関する特許って何があるのだろうと考えてしまいます、、、
 とはいっても、おむすびに関する特許には色んな分野があります。
 おむすびの製造機械、成形用型、海苔巻き用機械、包装用フィルム等です。 

2.包装用フィルムの特許

 今回は、皆さまにも馴染みの深いおむすびの包装用フィルムを取り上げてみます。
 コンビニエンスストアに行くと、必ずと言って良いほどおむすびが販売されています。
 それらのおむすびは、パック詰めの商品を除き、殆どが包装用フィルムで包装されています。
 
 この包装用フィルム、私が子供の頃はなかったのですが、20代のときにはあったように思います。
 そこで、弊所が契約している特許データベースで検索してみました。
 
 検索式は下記の太字で示す特許分類です。
B65D 65/00 被包材または可撓性カバー;特殊な型または形の包装材
B65D 65/02 ・被包材または可撓性カバー
B65D 65/10 ・・矩形のもの
B65D 65/10 A のり巻き寿司,握り飯用
 ヒット件数  789件
 
 このデータベースでは、昭和46年以降の文献が検索可能でして、789件ヒットしました。
 他にも該当しそうな特許分類はあったのですが、気合いを入れて調査してもお金がもらえるわけではないので、これだけにしておきます(^_^; 

3.古い文献

 さて、その中で最も古い文献は、実公昭53-42309でした。
 出願日は昭和48年5月10日です。
 内容は、菱形のシート状部材の一部に金属箔を貼り合わせたものです。
 図面を見ると、おにぎりを包んだ後に端をひねっています。
 金属箔があることで、このひねりを維持でき、解くときも容易になると記載されています。 

実公昭53-42309の図面

 上記の文献では確かにおにぎりを包装していますが、まだコンビニエンスストアで馴染みのある包装とは違いますね。
 どちらかというと、国鉄時代に駅弁と一緒に売っていたおにぎりに近いような気がします。
(気がするだけで事実とは違うかも知れません)

4.裁判にもなった文献

 では、有名な文献を紹介しましょう。
 実公昭63-040152で昭和60年5月28日の出願です。
 図面を見てみると、けっこう馴染みのある包装フィルムに近付いたのではないでしょうか。 

実公昭63-040152の図面

 実は、この実用新案権は裁判にもなっています。
 簡単に申しますと、本件考案はミシン目7によって外装フィルム1の半分を切り離し可能にされています。
 それを、他社がカットテープを用いて同様の製品を作ったところ、実用新案権を侵害しているとして裁判になったのです(平5(ワ)2389号)。
 
 結論は、ミシン目とカットテープは別物だから侵害には該当しないというものでした。
 
 このようなことを防ぐためにも、改良発明を継続的に出願することで強い権利とすることが好ましいのですが、中小企業では資金面から難しいこともあります。
 (私たち弁理士も、なるべく権利範囲が広く漏れがないような書類を書くことを心がけておりますが、将来起こることを全て予測することは困難であり、似たようなことが起こらないとも限りません。)

 5.最近の文献

 さて、こういったローテクともいえる製品は、もう技術的に枯れてしまって新たな特許出願がないのかといえばそうでもありません。
 例えば、特許第7223990号があります。
 こちらの出願日は平成31年1月29日ですし、もっと新しい出願もあります。 

特許第7223990号の図1
特許第7223990号の図7
特許第7223990号の図8
特許第7223990号の図10

 この特許は、上下にある分断可能線10,11によってカバー材5を分断可能にできるというものです。
 その結果、フィルムを取外したときも、カバー材5の一部が残り(図10の5a)、カバー材5aを介しておにぎりを持つことができ、不衛生にならず手も汚れないということです。
 コロナ禍のときにぴったりの特許です。
 
 皆さま、色々と考えられますね。
 こういった改良技術を権利化していくことで、企業の業績が向上するのだと思います。
 
 いかがでしょうか?おにぎりが食べたくなってきませんか?
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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