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孔子・老子・釈迦「三聖会談」(諸橋 轍次)

 孔子・老子・釈迦が一堂に会して世界観・人生観等を語るという設定の本です。
 著者自身がコーディネータ的に話題をふるのですが、折角の企画の割にはちょっと物足りない感じがしました。

 複数のことがらを比較して何かその特徴(コンセプト)を導き出す手法として、「相似(似ている点はどこか?)」「相違(異なる点はどこか?)」という2面に着目する方法がありますが、もう一歩、そういう観点からの深堀りが欲しかったです。

 テーマとしては、「孔子の『天』・老子の『無』・釈迦の『空』」とか「孔子の『仁』・老子の『慈』・釈迦の『慈悲』」というふうに、面白そうな「相似と相違」の分析対象のコンセプトを採り上げていただけに「もったいない感じ」がします。
 個性的な三聖が揃っているのですから、各テーマについて三人が自らの思想に基づき丁々発止の議論を戦わせ、その過程で「相似」と「相違」を浮き彫りにすることができたのではと思います。

 ただ、そういう不満をいうのもおこがましいかもしれません。やはり、自分自身、より原典に近い著作でそれぞれの教えに触れるのが先だったように思います。
 最初から、テーマを選定してくれていて、そのエッセンスだけ抜き出したような本に頼るのは安直過ぎますね。反省です。


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