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パワーポイント議論あれこれ 〔気になる記事(文春オンライン)〕

 かなり以前になりますが、文春オンラインでこんな記事がありました。

  なぜアマゾンは社内プレゼンで「パワポ」の使用を禁止しているのか
    → https://bunshun.jp/articles/-/15306

 こういった “powerpoint禁止” といった動きはAmazonに限らずいくつもの企業であるようです。
 これには同意する意見も多々見受けられますが、私は、こういった議論は「目的と手段の混乱」でしかないと考えています。

 powerpointで作成したシートは、「伝えたいメッセージをしっかり伝える(目的)ためのツール(手段)」に過ぎません。
 しっかり効果的に伝えるという目的に対して有益であれば、powerpointの「箇条書き」「グラフ」「アニメーション」を大いに活用すればいいですし、無意味なら使わなければいいだけです。

 記事の中に「作成者の主観が過剰に入り込むという理由で、グラフの使用も好まれない。シンプルな棒グラフひとつでも、軸のスケールや幅を変えるだけで印象が大きく変わってしまう。」とありますが、これは別段 powerpointだからという弊害ではなく、昔の「模造紙に書いた資料」でもあり得ることです。
 作成者の意図を含んだ行為(誘導)はプレゼンであれば当たり前で、むしろ、そういったことをしっかり見抜かなくてはならないという点では、これは「受け手のリテラシーレベル」の問題でしょう。

 また、「後から資料を見返しても肝心なことが口頭説明だけで書かれておらず、“なんだかよくわからない”ということになりがちだ。」とのくだりもありますが、これもまた当たり前のことで、“プレゼンテーション資料”は、「しゃべり」の効果を極大化するための「補完的なビジュアル」に過ぎません。
 後から内容を吟味するためにじっくり見直したいのであれば、それ用のしっかりした「ドキュメント(説明書/提案書)」を別に準備させるべきです。この点も、本質的にはpowerpointの弊害ではありません。

 むしろ、この記事で参考になったのは「ミーティングの進め方」ですね。

 「6ページャーが提案される会議では、冒頭のおよそ15~20分間、まずは全員がドキュメントを読むための時間にあてられる。静まったミーティングルームで参加者が黙々とドキュメントを読む雰囲気はかなり緊張感が漂っている。
 その後、基本的にはページごとにドキュメントの提案者であるオーナーが出席者からの質問に答えながら、さまざまなフィードバック、アドバイスを通して議論を重ねていく。」

 このやり方は興味深いですね。
 資料の事前配布もなく、また事前配布されていても目を通していないメンバが散見される“会議の現実”を踏まえると、会議が真剣勝負の場となるので、かなり効果的だと思います。


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