日本沈没第二部 (小松左京/谷甲州)
1973年に出版されて大ベストセラーになった小松左京氏の「日本沈没」。
当時、私は中学生だったのですが、ユーラシアプレート・太平洋プレート・フィリピンプレートが重なり合ってマリアナ海溝に沈みこんでいる図は、30数年経った今でも、未だに強く記憶に残っています。
先年、そのリメイク版の映画も公開され、再度ちょっとしたブームになりました。それに合わせて出版された本書は、私にとっては、思っていたものと少々イメージが違っていました。
ディーテイルの設定や描写はかなりしっかりしています。その点では力作だと思います。また、地球規模の環境予測システムである「気象シミュレータ」なるものが国家の安全保障の核になるという着想も慧眼です。
ただ、小説のストーリー立てとしては、際立った主人公が不在で、登場人物間の絡みも今ひとつ、最初から終わりまで平板な感じは否めません。
正直なところ、発想の奇抜さや構想のスケールといった点では、前作とはやはり雲泥の差があると思います。
国際政治をテーマにしていると見ることもできますが、そうだとすると(全くタイプは違いますが、)たとえば、トム・クランシーのようなフィクションの中にリアリティやエンターテイメント性をこれでもかと盛り込んだ作品のインパクトには敵いません。
期待が大きかっただけに、少々残念です。
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