見出し画像

新盆の不思議

本当はどうしても新盆の迎え火には行きたかった
まだ体調が回復しない

今年はお茶会を開いてくれるという
母の新盆だから
いらっしゃいと誘われた

十日も経てば直るだろう
高を括っていたけれど
どうしても直らない

お茶会の予約をキャンセルしないと
天命庵に連絡を入れる

電話に出たのはお社さん
「もしもし、明日のお茶会の予約をしているノリかなですが具合か悪いのでお休みします」
「えっ、ノリかなさん、Dです、それは無理はしないでね。十六日もお茶はでないけど、十六時から送り火をするからいらっしゃい。お母さんが喜ぶわよ」
「はい、分かりました。伺います」
十六日ならば、もう体調も回復しているでしょう

そうしますと思ったものの
翌朝、いやに早くに目が覚める


もう新盆に行きたくて
行きたくて行きたくて堪らない
わたしの気持ちではない
何かがわたしの背中を押す
父なのか母なのか
母方の祖父母なのか
それとも全員なのか
なんだかみんなの気がする
気づいたら
最寄りの駅まで走り
待っていた電車に飛び乗る
そこから先は
順調に
湯河原まで行き着く

あとはゆっくり
神様の元で待っている

神様のもとはまつり、待つ理、祭り

半日かけておやさまに甘えてくる

台風が来ていようと
いつも無事に帰宅できる
まるで行きも帰りも
キツネにつままれたよう
人間の力は及ばない

その事を何回も経験させられる
本当はお茶会は出ないで帰ろうかと思っていたが
これも
「お茶はね、ブッタの乳というのよ、飲んで帰らないでどうするの?」と言われてしまう
あぁ、そうなんだ
分かりましたと飲みました
喉の奥、どこに入っていったか分からない

お茶を御先祖様と一緒に頂く

帰り道も何もなく
無事に家に着きました
なんだかね…
不思議な一日

また十六日も送り火に行ってきます

神様詣では一回お休みしたけれど
今回は新盆の迎え火に行き
また力をいっぱいもらって来ました

不思議な力、人間の力の及ばないものを見せて頂き
感謝します

父と母と母方の祖父母、四人の魂を背負い帰って来ました

家に帰ると玄関先に
黒い鳥の羽根が落ちている
守られていることを
実感する


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?