日付変更線
昔々、その昔
思ひ人におしゃれなジャズバーに連れて行ってもらいました
もうすぐ終電がなくなる前
思ひ人と名残惜しげに
改札の前
「あぁ、日付変更線を越えちゃた」
言うわたし
思ひ人は一瞬えぇ?という顔をして
「まだニュージーランドなら日付は変わっていないよ」
と返してきた
「そうか、ニュージーランドはまだ昨日なんだ」
「ほら、もうすぐ電車が来るよ」
小さな声で
「帰りたくないな」と言ってみる
思ひ人は困ったような顔をする
言葉には出さないけれど
「きみのことは大切に思っている
だから今日は真っ直ぐに帰って…」
わたしは素直に思ひ人の気持ちに従って終電に乗る
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