赤いオンジシュウム
母の月命日に花を買う
いつもの花屋さんで
母の日が近いから店頭にはカーネーションが並ぶ
母の日はいつの間にか嫌いになっている
カーネーションも嫌いになる
この時期は憂鬱になる
母の日なんかなくなればいいのに
みんなが買い求める花を見ながら
心の中で悪態をつくわたし
仏花の中にもカーネーションが入っている
仕方ないなぁ
カーネーションばかりが幅をきかせ
他の切り花はあまり居場所がない
わたしもかつては嬉々として赤いカーネーションの鉢植えを買っていた
母がいつかはいなくなるとも思わずに
あの頃に戻れたらいいのにな
母に捧げる切り花は何にしようか
赤いオンジシュウムが目に留まる
母のヘナで染めた赤毛を思い出す
この花は母の花だ
これにしよう
月命日の前の晩
仏壇に花を飾る
母の遺影の前には小玉スイカ
そして祖父母の遺影の前に
赤いオンジシュウムを
いつもの定位置に
赤いオンジシュウムは母の花
赤髪のお母さん
三羽 烏さん
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