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母のこころね

朝早く目が覚める
小間切れ睡眠はいつから始まった

あれはそう
たしか三年前骨折して入院した時からだった

自分のことでいっぱい、いっぱい

母の具合はかなり前から悪かった
「病院に行かなくていいの」と言っても答えはいつも「いや、行かない」

頑固者、人の言うことを聞かない
それは私もおんなじか…

神様の前では素直なふりをする
そして母は神様の言葉を伝えるお社さんの言うことだけは聞く

娘の言うことも孫の言うことも聞かないのに

それが運命ならば受け入れるしかない
母の決めたことだから

必ず還らなければならない彼方の世界へ

優しい母は従姉にも娘のように接していた
母はつよいからなんでも受け入れる
母は優しいからなんでも受け入れる

迷惑をかけられても嫌な顔ひとつせずに
自ら飛び込んで行く

私は母に迷惑ばかりをかける彼女が許せなかった

神様は母の心をほめられる
私にとっては到底受け入れられぬ
私は心が狭いから
狭すぎる

母はそう、自分の旅立ちを決めていた
私にとっては突然だけど
母の中では時旬だと
還る時期を狙っていた

だから神様は覗きに来ただけなのに
大好きなおやさまに掴まって
還ってゆく

私の骨折で母の命は延ばされたのか
私にとってはいいことだった

ただ母にとってはどうだったのか

母は懸命に生きる人
与えられたものを全て受け止めて


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