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うれしいけれど…

誕生日おめでとう
今年はもう言えなかった

母はまもなく誕生日を迎える少し前
生まれる前の国へ還って行く

珍しく自分から「もうすぐ誕生日」と言っていたのに
その前の年、母の具合が悪くて誕生日のことは誰も思い出さなくて
それどころではなかったから

今年こそはと思っていた

早々に肉体を脱ぎ捨てて
店じまいをしてゆく
自分から神様に掴まって

今年は息子と二人で祝ったよ
私の誕生日と一緒に
天の上から見ていたのかな
横にいたのかな
いつものケーキを「おいしいね」、お寿司も「おいしいね」って食べていたのかな

天の国ではお父さんに祝ってもらったの
お母さんにはうれしいことだね
最愛のお父さん
わたしはあんまり好きじゃないけど

ごめんね

わたしには最愛の人いないから
ひとりだから

年が明け
すぐに母の誕生日がやって来る

 
多分ね
また泪が出る

そして私だけが年を取る
うれしくないな




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