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イヤなこった

ひとりになってからほとんどカレーは作らなくなった
何日も食べ続ける気力がない
途中で飽きてしまうから

この間冷凍庫の中から
期限の切れたカレーを見つける
一人前の小分けになった買い置きの冷凍カレー
温めるだけ

ご飯と一緒に食べてみる

辛い、辛い、頭から汗が吹き出す 
香辛料がいっぱい入った
ちょっとお高いカレー
わたしの口には合わなかった
本当は美味しいはずなのに

やっぱり自分で作りたい
でも少しでは美味しくない
いつもいつもの押し問答

ひとりってさみしいな

ご飯を作るのも
買い物に行くのも億劫で
何にもしたくない

誰もいない家
かなしいな
夕暮れにカラスがカアカア啼いている

母もいない
息子もいない
家族がいない

数ヶ月ぶりに会った友
「息子は…」
「二人とも結婚した」
「えっ、それはさみしいわ…一挙に来たね、つらいね」

そうだよ、こんなに物事がいっぺんにドカンと来るもんか
この一年に母の旅立ち、息子たちの結婚
もう少し緩やかに来て欲しい

こんなの堪えられないよ
普通なら

それでも堪えろ言うのか
神様は乗り越えられないものは与えない
わたしのこころはどれだけ鋼なんだろう

そのうち幸せがやって来るというのか

「次はお孫さんね~」

イヤなこった
わたしの幸せが先だよね

まぁ、たまになら孫の相手もしてやるか
もう少し先の話しかな

いやいや、そこまで生きるのか

この冬は左足のしびれがすごい
右足も時々違和感
足だけではない心も違和感が満載で
これがストレスというものか


カレーライスは食べたいけれど
一人分は物悲し、物寂し

そういえば母はひとりなのにカレーを鍋いっぱいに作っていた
三日間ずっとカレーを食べていると言っていた

甘口のカレーにソースをかけて

わたしには耐えられそうにない

イヤなこった!
とひとりの家で叫んでみる

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