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簡単には行き着かない


あの日から寝汗が続く

母が旅立ち
自分自身の変わり目か
はたまた世の中の変わり目か

それからも寝汗は出続ける

精神的にやられると私はいつも寝汗をかく

10年以上前子育て中での元夫との心のすれ違い、そして昨年母の病を受け入れられなくて、何で何でと思うほど寝汗をかく

どうにかこうにか子供も巣立ち、母を見送る

私の人生もこれで仕舞い

そう思っている
人のための人生で十分だ
いやいや母に何ができたのか、本当は後悔だけ
尽くしきれてない

まだまだこれからだよね、本番は…そう思うけれど

自分の人生を生きようなんて端から思っていない

全て潰される
背負った病の重さによって
学生時代に死にかかり
今までよく生きてきた

本当は死ぬような病じゃない
病の名は尋常性乾癬
昔はね、難病指定にされていた

なにをやっても効かなくて、未だに効かない、何にも効かない、あらゆる治療は試してきたが…効かない

死にかかってからは積極的に治療はしてない

支えとなってくれたのは母ひとり
あとは誰も知らん顔

父の家系の病なのに
じいさんも同じ病のはずなのに
「おれは誰にぶつければいい」って悪態をついて来るだけだった

お金じゃないけど、私にだけは遺産も残さない

母方の祖父は「あのじいさんは間違っている」と言ってくれた、優しかったのは母方の祖父母だけ

何にもしないと思っていたが、父は最後は自分の父親の葬式に出なかった

それが父の意思表示

母はそれでいいのかと父に何回も確かめたが
父の決意は固かった

父にも遺産分けはなかった、父も遺産請求をしなかった

私はすでにその頃にはおやさまの教えを学んでいた

「あんたは家の病を背負えるだけの力がある、大きな荷物を背負えたことをありがたいと思いなさい。
自分のなかで何故自分は生まれてきて、こういう遺伝や病をうけつがなければならないのかと恨んでいることはよくないこと、もう決して恨みの心は持たぬこと。
自分がこうやって大きな荷物を背負えたことを神様にお礼を言いなさい。」

とおやさまから言われていた

皮膚だから見た目は汚いだけで、人にはうつりません

父の実家とはもう関係ない、縁は切れた
おやさま、もういいから…

結婚して、子供も授かり見た目には普通の夫婦、でも心は通っていなかった

外に働きに出れば、見た目が汚いから問題視されることもある
私は強くないから
また引っ込む
その繰り返し

父が亡くなり…
一緒に暮らしていても父の死を伝えられなくて
相手も何も聞かない
そんなの夫婦って言えるのか

心が離れた頼りにならない夫といること自体
精神は病んでゆく
夫はピタッとこころを閉じている

こころが通わないって
一緒にいると地獄です 
寝汗をかきつづける

息子たちには迷惑かけたけれど

精神病んで、見た目汚い皮膚病で、
そのうち外に出て働くことをあきらめた
はたらくとは端を楽にさせること、母の手足になって、週に2~3回ひとり暮らしの実家へ通うことにした
母には援助をしてもらい、つかず離れずいい関係だった

数年前、母の胸に小さなしこりがあると知らされた
私はいつも遠慮がちに
「病院に行かなくていいの?」と聞いていたが、いつも答えは「いや、行かない」

息子には何でもっと早くに自分に言わなかったといまだに言われるが、病院嫌いの母だった

気づいたときには異常に大きくなっていた
息子も病院に行こうって言っても聞かない
母の信じるおやさまの言葉を取り次ぐお社さんに相談すると
「すぐに病院に行きなさい」って

慌てて近隣の乳腺外科のクリニックに行くと、アラアラ脇の下のリンパにも、小さな骨転移も見つかった

もうどうする?
進行の早い癌、ステージⅣ

そのクリニックは半年後には閉じるというから、近隣の総合病院を紹介されて

その時に効くか効かないか分からないが分子標的薬があるからやってみませんかと言われる

生きるのは大変

簡単には行きつけない


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