【第68回岸田國士戯曲賞最終候補作を読む】その7　メグ忍者『ニッポン・イデオロギー』

候補者について

メグ忍者［めぐにんじゃ］
1988年生まれ。千葉県出身。多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。オル太メンバー。劇作家。初の最終候補。

（撮影：松見拓也）

候補作について

昨年12月、YPAM2023にてオル太の公演としてBankART Stationで上演。今年1月にはロームシアター京都ノースホールにて上演。

■時代、場所
　第一章　Dreamの意義
　　第一場　路上、教室、皇居
　　第二場　駅、電車、皇居から八十一キロメートルの家
　　第三場　ディズニーランド、電車
　　第四場　皇居から二十八キロメートルの家
　第二章　Gestellの解放
　　第一場　路上
　　第二場　皇居から八十一キロメートルの家、路上
　　第三場　軍需工場
　　第四場　路上、テレビ局
　第三章　Deathの権利
　　第一場　整体院、マクドナルド
　　第二場　教室
　　第三場　路上
　　第四場　路上、皇居から八十一キロメートルの家
　第四章　Calmの獲得
　　第一場　駅、路上、皇居から二十八キロメートルの家、マクドナルド
　　第二場　ドン・キホーテ、ファミレス、路上
　　第三場　居酒屋、千鳥ヶ淵、靖国神社
　　第四場　沖縄県の在日米軍施設跡地
　第五章　Voiceの反乱
　　第一場　羽田空港国際線ターミナル、洞窟
　　第二場　皇居から九百四十四キロメートルの家
　　第三場　電車
　　第四場　電車、駅、講堂、路上、バス、バーベキュー会場
　第六章　Ideologyの真相
　　第一場　国際展示会場
　　第二場　タクシー
　　第三場　路上、ベトナム通り、コンビニの駐車場、サービスエリア、スナック
　　第四場　皇居、居酒屋

■登場人物
　選挙演説（日本幸福の会・山本雄一）、風俗広告、ちり紙交換、竿竹屋、女子高生K、アナウンサー、天皇、女子高生A、会社員T、会社員N（会社員Tの後輩）、マッカーサー、教師、子供1~3、街宣車、駅員、老婆、若者1~3、ママ1~2、ロボット店員、受付、韓国人妻、韓国人妹、韓国人夫、夫、妻、営業マン、ピノキオ、隣人、現場ネコ、販売員、女子高生Y、監視員、兵士、先行者（中国のロボット）、高校の事務員、こんにゃく売り、客1~4、首相1~2、司会1~3、宮澤俊義、穂積八束、整体師、光源氏、葵、六条御息所、夕顔、紫、誘導員、地謡、天女、俺（オレオレ詐欺）、三島由紀夫、森田必勝、抽象的な人間1~7、小学校教員、小学生の親、中学校教員、中学生の親、サイレントマジョリティ、ロボット警官、ロボット左翼、ロボット右翼、見物人1~5、観光客1~2、宣教師、赤い髪の人、AI、現地人、警備員、ニッポンジン、ニホンジン、団員1~2、朝鮮人女子生徒たち、日本人男子生徒1~2、 巡査、警察官1~2、 同志、鬼、ミッキー、スタッフ、移住者、教祖、信者、関西人、アメリカジン

■物語

総評

　実際の上演は未見。オル太もメグ忍者さんのことも知らなかったが、YPAM（横浜国際舞台芸術ミーティング）で上演されたということで、どちらかと言うとパフォーミングアーツ的側面が強い。横浜ではそれぞれ章ごとに上演され、京都では3章ずつ上演し、トータルでは6時間になるとか。
　根幹となる物語があるわけではなく、サンプリングのようなイメージでやや深みにかけるきらいはあるものの、これまで読んだ最終候補作の中ではいちばん面白かった。受賞の可能性はあると思う。