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【第65回岸田國士戯曲賞候補作を読む】その7

6作目は内藤裕子さんの『光射ス森』

候補者について

内藤裕子[ないとう・ゆうこ]
1975年生まれ。埼玉県春日部市出身。演劇集団円所属。
初の最終候補。

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候補作について

昨年12月、演劇集団円の公演としてシアターΧ(カイ)にて上演(当初は5月の予定だった)。

■時代、場所
 第1場 2020年5月 奥居家① 山の斜面①
 第2場 2010年5月 沢村家① 山の斜面②
 第3場 2010年8月 沢村家②
 第4場 2020年5月 奥居家②
 第5場 2010年9月 沢村家③
 第6場 2020年5月 奥居家③

■登場人物

 奥居正利(82)  奥居林業を営む
 奥居信利(63)  正利の長男
 奥居和利(38)  信利の長男
 奥居智子(28)  信利の長女
 河野綾香(24)  従業員(研修生)
 沢村由里子(48) 従業員
 沢村民雄(72)  農林家
 沢村里子(68)  民雄の妻
 沢村直樹(44)  沢村家婿・消防士
 沢村江里子(28) 民雄の次女
 内田祐二(30)  森林組合職員

■物語
 親子三代で林業を営む奥居家。そこで働く従業員の沢村由里子は、どういう山に仕立てたいかを考えて残す木と伐る木を選ぶという正利の教えに感銘を受ける。正利の長男・信利は、離婚して5年になる長男・和利の再婚相手にどうかと考えるが、由里子は山のことしか考えられなかった。由里子の父・民雄は農林家で、消防士の夫・直樹との間に雄樹という息子をもうけていたが、10年前の土砂崩れで家族を喪っていた。そんなある日、妹・江里子の婚約者だった内田が由里子を訪ねてくる。

総評

 演劇集団円は今まで観たことがなく、内藤裕子さんのお名前も今回初めて知った程度。これまで米農家や藍染め職人を題材とした作品を書いてきたそうで、本作もその系譜。
 奥居家と沢村家、10年の時を隔てた2つの家族を描きながら、日本の林業の問題点をあぶりだしていく。……とは書きつつ、それなりにテンポよく読めはするのだけど、あまり心に残るものはなかった。
 ところで、演劇集団円ほどの老舗劇団でも「何気に」はありなのねー。あと「年期が入っている」といった誤変換はちょっと恥ずかしい。

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