母の日

もうすぐ母の日である。
わたしの家族はあまり仲がいいとは言えず
誕生日も母の日父の日といった行事も
しっかりやる家庭ではなかった。


ただ何となくCMやらで
母の日の存在に気づいたときは
きまぐれでカーネーションを買いにいく
ことはあった。


わたしの母はわたしとは打って変わって
母の日をちゃんとするタイプの人間である。
母の母、わたしの祖母は
やさしいけど、芯があってしゃんとした性格の
人間だった。
そんな祖母のことを母はかなり慕っており
毎年母の日にはどこかのカタログを取り寄せて
母の日に贈る花を選んでいた。


母は田舎に住む祖母のことを
いつも気にかけていた。
何か田舎にものを送る時には
「宛名をおじいちゃんじゃなくて
おばあちゃんにしてあげて。
おばあちゃん宛のものはなかなか
来ないから、自分宛になってたら
嬉しいと思う」
だとか


年に一回里帰りするときは
必ずエプロンを持っていき、
「遊びにいくんじゃないんだよ。
手伝ってあげるために帰るの」
といって、自分の実家にも関わらず
里帰り中はずっと台所に立っていた。


父と仲が悪くなり
たびたび里帰りをしていた母は
夜は祖母と寝ていたらしく
「お母ちゃんお母ちゃんと
泣いてたよ」
と後から祖父に聞いてびっくりした。


そんな祖母が今年亡くなり、
母は高齢の祖父の世話をするため
実家に帰ることになった。
子供の前では泣き顔を見せず
他の兄弟とてきぱき
働く姿や、職場の人から暖かい言葉を
かけてもらっている母の姿を見て
初めてわたしは社会人としての母のつよさを
感じた。


わけもなく、邪険にしたり
適当な対応をしていた現状をあらため
せめて母の日にはなにか送ろう。
今からでも親孝行間に合うだろうか。

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