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専門誌掲載コラム「Gが いっぱい」

 この稿が出る頃は暑い最中だと思いますが、原稿を書いている今5月は爽やかな日々が続いています。今年のGWは元号ウィーク(Gengo week)だったそうで、弊社でも「平成最後の“昭和の日”」だとか「平成最後の日」だとか「令和最初の日」と言っておりました。社内に某通信カラオケの機械を持ち込み「昭和の歌」「平成の歌」を歌うという試みも、なんとなく年末のカラオケ大会。最近のカラオケマシンは、1文字入れたら候補曲がずらっと出てくるので「お、AIか!」と驚いていると「最近のはそうですよ~、いつからカラオケ行ってないんですかぁ?」と若者に指摘されつつ、普段あまり使わないHDMIケーブルも活躍し、企画は無事終了。
そして5月も半ばを過ぎ、この原稿を書くときには「れいわ」と打ってもIMEで爽やかに変換ができています。人間の心理も面白いもので、連休と各種メディアでの「最後」や「最初」の煽りで、なんとなく年末気分、年始の気分になってしまいました。連休明けには「明けましておめでとう」の挨拶がしたくなり、5月1日には初詣も行きました(おみくじは凶でしたが・・・)。
令和元年(Gannen)は、5G元年とも言われているようです。3Gや4Gを「さんじい」「よんじい」と読んでしまった癖で、つい「ごおじい」と読んでしまいます。また、このGは「ギガ」じゃないよ、なんていう記事も出ていました。最近、色んな所で「ごおじい」になったら、どうなるのだろうバナシが出てきます。ちょっと想像を膨らませてみたいと思います。
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20XX年、大阪万博から数年が経ったころ。もう当たり前に5G網は完成し、Society5.0が実現しています。山間部は“ドローン型基地局”でカバーされ、そのドローンもAI搭載の自動帰還モードが標準搭載され自分で充電してまた飛び上がる光景が普通となっています。荷物の配達も配達集荷ドローンが5G通信をしながら、山間部を含め各地で活躍しています。心配された高齢化による人材不足もAIによる自動化で解決。健康問題も検診のAI判定で見逃しなく早期発見、5Gによる高精細画像伝送による遠隔医療も発達し、保険料の軽減にも繋がっています。このように十数年前に問題となっていたことは技術の進歩でほぼ解決できています。IoTは当然で、AIやビッグデータ解析のおかげで、各人が腕に着ける”スマウォ”で健康管理から日々の行動の提案までしてくれる便利さ。移動も全自動運転で渋滞もありません。
放送のほうに目を向けると、万博の前まではTVにはチューナーなるものが入っていて、放送波を受信して解像度のよくない2K映像を見ていたようですが、いまでは5Gのチップが内蔵されていてネット経由でデータ受信して8K映像を表示しています。そもそも小学校中学校の教科書がタブレット型となり4Kコンテンツを見ていた世代には2Kコンテンツでは“ぼやっとして見づらい”そうです。万博では、その昔“イベントFM”という形で会場案内していたものが5Gを利用した4K8K高精細画像のVRやARを利用して案内しました。建設中の万博会場では当時の放送系設備業者が、放送アンテナではなく5Gアンテナを建てるという状況が生まれたそうです。
TVは昔の”ブラウザ”というものを発展させたそうで、今では宅内の集中管理端末となっています。TVから室内各所のIoT端末とWifi-6を使用し、様々な情報のやり取りをしています。TV放送局の現場では放送波を使わなくなったおかげでコンテンツ制作に特化しています。放送中継の現場でもFPUやTTLなんて使わずとも、5Gネットワークでの伝送に代わっています。
いま、放送波として残っているのは、FMラジオ!。ラジオは数年前におきた東南海地震で活躍し災害情報の伝達の速さと省電力で再認識され、こんな狭帯域で情報と人の安らぎを伝送できるという実績で放送波伝送が残りました。また東京オリンピックの頃から“もっといい音”の追求が始まり最終的にはハイレゾよりもっといい音に回帰し、放送波ではないradikoの伝送も5Gのおかげで音声ぐらいだとアナログに近い臨場感のある音声信号が伝送できるようになりました。
映像コンテンツの分野では、4K8Kの良さを生かした旅行モノやドラマ・映画、スポーツ、ライブなどのコンテンツが主流となりバラエティ番組はなくなっています。そのバラエティはラジオのほうに移行し、音楽とバラエティ・トーク、特に東南海地震で注目された「人と人のつながり、安らぎの提供」が再認識され、SNSと同様に人のつながりの重要なインフラとなっています。やはり5G、IoT、AIの時代でも最後は人のつながりになるようです。
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「ごおじいになったらどうなるか」バナシはこんな感じでしょうか?いま業界では3GHz帯の周波数移行の作業が進んでいます。この周波数移行の目的は“4G”だそうです! 5Gだと思っていました・・・。いずれにしろ5Gの普及した未来でも業界は違う形で生き残っていくのだと信じて、また、新しいG(Generation)に取り残されないようにと思いつつ、どんな社会も最後は人の繋がりが大事になるだろうと思う今日この頃です。

(2019年7月専門誌コラム掲載)

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