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専門誌掲載コラム「平成から未来へ」

本稿掲載は3月号とのことで“平成最後の年度末”です。レンタルビデオ屋からVHSテープがなくなったあの日を予備校の自習室で迎えた私が平成30年間の(この業界の)技術を「●●技術報告会予稿集」からキーワードを概観しながら、個人的に振り返ってみたいと思います。
 【平1 (’89)~平5(’93)】VTR、ベータ、光磁気ディスク、固体化、デジタル回線、制御用LAN、液晶、パソコン、イーサネット、ミニコン、レーザービデオ、タッチスクリーン、多重、カートマシン、ビデオディスク、花の万博、SNG、DTMF、XXデジタル化、多装填、ワープロ、EWS、パソコンLAN、DAT、GPS、マンマシンI/F、D2、AMステレオ、ポケベル、カセット、バーコード、EDTV、圧縮、CG、プッシュホン、Mac、ISDN、DRAM
 この頃はZ80ボードにアセンブラで入力したり、イエローケーブルで繋がったUNIXでPascalやFortranを書いたり、10Base-5の終端を外して学内LAN停止し怒られたり、他大学にtelnetでrloginしてCPUを使って怒られたり、fjで技術資料を調べたりしていたように思います。時代はMSXからPC98 vs DOS/Vの時代が来てIP系ではMosaicで東大/慶大経由WWWを見て喜んでいました。ISDNで繋がったWeb上の自由な情報発信により将来は国境がなくなるのでは、とも言われていたと思います。
 【平6(’94)~平10(’98)】OFDM、MPEG、フラッシュメモリ、パソコン、CG、ポケコン、インターネット特番、サブリミナル、S-VHS、デジタル携帯電話、CCD、GPS、MD、インテリジェント、オープンシステム、イントラネット、PCサーバ、ノンリニア、GUI、INSネット64、DOS/V、汎用LAN、DVC-PRO、HD、BSデジタル、MUX
 Win95でPCが一般的になり、テレホで56kモデム繋いでいるときに限ってキャッチが入って断になったり、街でグレ電探してAPに繋いでメールしたり、ドライバとハードの「相性」が合わずシステムが動かなかったり(理系の癖に相性なんて言うな!と怒られました)、DECやCOM
PAQのPCを買ったりしました。パッシブのLAN構成からHUBのあるアクティブな構成になってきましたが「業務システムではHUBが壊れた時に事故になる」と10Base-2へ設計変更を指示されたりしました。フラッシュが高価でしたね。niftyserveのforumで技術情報を探したり、9600bpsの携帯より32kのPHS買ってPCに繋いだのもこの頃でした(そのおかげで今でも携帯で070です)。
 【平11(’99)~平15(’03)】インターネット中継、HDTV、L字、HDD同録、BSデジタル、2000年問題、汎用ブラウザ、バーチャル、ビデオサーバ、ICレコーダ、ギガビットネット、DAW、トータルシステム、マルチフォーマット、社内LAN、DVD-RAM、地上波デジタル、商用WWW、16QAM、16:9、iモード、データ放送、BSラジオ、携帯電話、双方向、ノンリニア、テープレス、Dopa、メタデータ、MPEG4、ネット動画、デジアナ、低価格、簡易、5.1ch、BWF-J、完全テープレス、フルデジタル、1394、WEBメール
 ノストラダムスもマガジンMMRの予言も当たらず2000年問題も何のことはなく、平和に世紀が変わったように思います。インターネットが急速に広まりネットでどこまで出来るかという挑戦の時代で、この頃の技術が基礎となり今に至るような気がします。また、デジタル放送になり、それまでの「映像」と「音声」の“システムは別”という構成から音声が映像系システムに統合され、「音声システム単独」が少なくなってきたように思います。また平成不況から「低価格」「汎用」「簡易」という技術的冬の時代がやってきて、特に専業メーカーが苦しくなった時代のように思います。
 【平16(’04)~平20(’08)】携帯メール、無線LAN、DAW、5.1ch、汎用IP網、ダークファイバー、1セグ、地上デジタル、汎用、シンプル、コンパクト、リアルタイムIP伝送、回線遅延、JPEG2000、HD非圧縮、H.264、EDI、動画検索、MXF、ファイル伝送、4K伝送、仮想空間、緊急地震速報、音源サーバ、違法動画、携帯電話のデータ通信
 【平21(’09)~平30(’18)】省スペース、低遅延、LED、デジタルサイネージ、アンドロイド、ファイル化、ギャップフィラー、ファイルベース、アーカイブ、ラウドネス、汎用製品、XX、仮想化、モバイル回線HD伝送、スカイツリー、クラウド、スマホ、XDCAM、IPDC、インターネットVPN、4K収録、IPコーデック、Twitter、ハイブリッドキャスト、FM同期、VoIP、ポストISDN、8K、ドローン、iOS、ワイドFM(FM補完)、4K8K、AI、災害、VoLTE、認識、シングルボード、学習、オーディオネットワーク
 ●●では●●が導入され低価格路線ともあいまってシステムが統合され●●も●●等でデジタル化・ファイル化が進展し、現在の統合システムができたように思います。リーマンショックで各メーカーは提案営業から標準化(特殊仕様をなるべく受けない)方向に舵を切ったようにも思います。●●と●●のシステムがどんどん別物となっていったような気もしますが、●●ではXXXXなどIPの世界への広がりや、モバイル化、ICTの利活用などより濃いサービスと災害対策の充実を目指す方向も出てきたようです。個人的にはこの15年は情報技術の大河にあれよあれよと流されたという感じがしています。
こうして振り返ると、平成の30年はICT技術の発展による処理速度の向上/保存・伝送容量の大容量化による「オフラインからオンライン」の流れが完成した時代だと思います。
今後の30年はこの10年間のキーワードに兆候が見られますが、ボードコンピュータの再来によりICT機器が隈なく行き渡り、IP化が益々進み、5G、AI、クラウド、高精細化と、情報技術を核に放送技術がさらに発展していきそうです。どうなっていくか楽しみでもあり、若者には当たり前の情報技術におじさん、ついていけるか不安です。
以上アラフィフ世代に懐かしい用語を多用してお送りしました。

(2019年3月専門誌掲載)

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