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周防大島町の下水道事業を考える 後編(R6.3一般質問)

一般質問の前に、2回にわたり、周防大島町の下水道事業の現状や全国の事例、気づいたことや考えたことをnoteに綴ってまいりました。

そして一般質問を行いましたので、その結果について、後編として綴らせていただきます。

まず驚いたというか、肩透かしを食らったな~と感じたのが、
一発目の回答

財政圧迫の現状は執行部も認識している。今後全体計画変更のタイミングで、大胆な見直しを行いたい。

一般質問に対する部長回答要約

です。

ー嬉しいけど
ー切ない。

次の見直しっていつ?!

そういうところから、再質問を行っていきました。


通告した質問「財政を圧迫する下水道事業の今後」とその回答

問1:一般財源を食う下水道事業会計の改善施策はある?

下水道事業の施設に関する計画をみると、
管渠も整備が終わっている農業集落排水・漁業集落排水と、特定環境保全公共下水道のうち安下庄処理区は、可能なものは処理場を集約し、適切に維持管理して使っていくということ、
特定環境保全公共下水道のうち令和2年度に処理施設ができ一部共用が始まった久賀大島処理区、三ヶ浦に延伸中の東和片添処理区は、今後も処理区域を広げていく計画になっています。

周防大島町汚水処理施設整備構想(R4.3)より
周防大島町汚水処理施設整備構想(R4.3)より
赤丸のところが問題の特定環境保全公共下水道。

一方で、現在審議中の令和6年度予算案をみると、
一般会計から下水道会計に繰出される総額は、7億14百万円、
赤字補填といえる基準外繰出し金に絞っても4億44百万円となっています。
これは、小学校費と中学校費を合わせた3億9千万円を上回っています。

さらに、特定環境保全公共下水道事業計画(案)に示されている今後の財政見通しによると、
久賀大島処理区と東和片添処理区の拡大部分で利用者数が増えることによって、令和5年度と令和12年度を比べると使用料収入が1300万円微増する予測になっているものの、

経費も増加して、
経費回収率は10~12%台に留まったままで、
令和12年度の一般会計からの繰入金は6億円に上ると予測されています。

特定環境保全公共下水道事業計画変更申請書(案)の
財政計画案のデータより作成

この試算に含まれていない農村・漁村集落排水は人口減少により利用者数が減少すると見込まれているので、使用料収入は減少し、

公共下水道事業全体ではさらに一般会計からの補填は膨らむのではないでしょうか。

また、令和4年度に財務省により行われた
本町の「財務状況把握のためのヒアリング結果」の中で、
今後の財政運営に関して公営企業局が一般会計に及ぼす影響が懸念されています。
その中でも下水道事業は、
一般会計からの操出比率、つまり"一般財源の何パーセントを下水道事業に繰出しているのか"が類似団体35団体中ワースト1となっています。

財務状況把握のためのヒアリング結果(R4)より

現在の計画を進める以上、この状況は改善されないように思いますが、
何か改善の施策をお考えなのでしょうか。
または、計画で予測されている程度の一般財源からの補填を継続し公共下水道敷設計画を着々と進めていくことが、町にとって有意義であり、進めていくというお考えなのでしょうか。執行部のお考えを伺います。

答1:今の計画では財政を圧迫し続けるので、全体構想の見直しのタイミングなどに合わせて大胆に計画変更を検討

(上下水道部長)下水道は、水循環において基礎的な役割を担い、公共用水域(川や海)の水質保全に貢献し、住民が快適な暮らしをおくるための環境基盤ともいえるものです。町が掲げる「すみたい島」と思えるまちづくりの実現のためにも、生活環境の整備は重要な課題です。

一方で、下水道処理施設の維持管理には大きな経費が伴うことも事実であり、ご指摘のとおり、下水道事業費用に一般会計からの繰出し金を充てながら運営を行っています

現行の特定環境保全公共下水道事業の計画期間は令和6年3月末までのものなので、令和6年度から令和12年度までの7年間の事業計画を策定中で、河川法の制約などで予定していた区域を削除したものや、延伸する予定で拡充したところがあります。しかし、特定環境保全公共下水道事業の全体計画の更新ではないため、大幅な見直しなどはしていません

しかしながら、財政圧迫という課題への対応を考えるうえで、全体計画については、大胆な変更を加えることも検討せざるを得ない状況であると認識しており、周防大島町汚水処理構想の更新時などのタイミングに合わせ実施できればと考えております。

下水道施設の普及率向上と住民負担の相反する課題への対応を考えると、
下水道普及率の向上のみを目指すのであれば、大きな投資を伴うので、
将来に向けて住民の皆様に何ら影響はないとは言い切れず、
全体計画の大胆な見直しと同時に検討をしてまいりたい。


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