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周防大島町もとうとう学校給食費無償化案

12月議会、条例関係の議案が14個もあります。しかも、新しい条例を制定する案が、7つも!

中でも注目しているのが、
「周防大島町学校給食費無償化事業基金条例」の制定について。
今年度の10月から3月まで、既にコロナ交付金を財源に充てて、物価高騰対策として、町立小中学校に通う児童生徒の給食費を無償化しています。
今回は、新たに基金に積み立てをして、来年度以降ずっと無償にしようとするものです。

この案件に関して私の考える問題点は、次の2点です。

  • 町内在住の小・中学生の給食費ではなく、町立小中学校の給食費が無償化の対象になっている

  • 財源に「米空母艦載機部隊配備特別交付金」のみを充てることにしている

支援の対象は、町内在住の小中学生を持つ子育て家庭ではなく、町立小中学校の給食を食べている子を持つ子育て家庭。それでいいの?

実は議会のちょっと前、友人がふと漏らした言葉。
「うちさ、フリースクールいってるから、給食費、支援の対象外なんだよね…」

おっと?そうか…町立の学校給食を無償にするのであって、町内在住の小・中学生の平日昼ごはん代を支援する、というものではないということか。
周防大島町内には、町立学校に在籍しつつ、町外のフリースクールに行っている子どもさんが何人かいらっしゃいます。
さらに、町が運営している適応指導教室(あろは教室)(←必要に応じて弁当持参)や、町外の私立中学校、県立中学校、総合支援学級に通っている子どもさんもいます。そして、学校に行かず、家で過ごしている子どもさんも。

これって、「子育てしやすい環境づくり」って言えるのかな?
本会議の質疑タイムに、念の為次の通り確認しました。

Q:町外の学校に通っている児童生徒の給食費は無償化の対象になりますか?
A:町内の小中学校に通っている生徒を対象に考えています。

ふむ…この後、審議が付託された「総務文教常任委員会」の時にもさらに確認。他の委員からも、疑問の声が上がりました。

Q:町内在住の小・中学生が支援の対象ではなくて、町立小中学校に通う児童生徒が対象になるのですか?
A:原則、基本的には、町立学校に通っている人を対象に考えているので、町の教育委員会が所管の給食について対応するというのが大前提にあります。フリースクールに行かれている方は、町内の学校に所属は位置付けているが、保護者から登校しないとの連絡があって、給食は止めているという実態がある。教育委員会としては、自ら通学区域の学校に行かないということで捉えています。

Q:町内に住む子供をどういう形であれカバーすべきだと思う。何らかの対応ができるようにすべきでは?
A:この方針を決定するにあたって、既に無償化している近隣自治体(岩国市・和木町)を参考にしたが、同様の対応だった。

Q:よその事例を見たときに、問題があるとは思わなかったのですか?
A:町立学校以外の給食費支援については、教育委員会としては制度上、学校と給食が一体化していて、イレギュラーなやり方は難しい。
しかし、何ができるかは考えてみたい。

本会議で同僚議員と執行部との質疑応答で次のようなやりとりがありました。

Q:無償化の目的のひとつとして、「子育てしやすい環境づくりの推進」とあるが、どういったことを目指すのか?
A:定住促進、人材育成において、教育の観点から、保護者の負担軽減をすることで、子供の育ちにもいい影響があるのではと想定している。先生方の徴収業務の負担軽減、子供の栄養をしっかり摂っていくという給食の大切さ。何より、子育て環境県内一を目指す中で、給食費の無償化を進めたい。

周防大島町が目指す「子育てしやすい制度と環境」とは?

藤本町長は、「山口県一の子育てしやすい制度と環境を作りたい」とおっしゃいます(なぜ県内でと考えるのか不思議ですが)。
しかし現状、子育て環境はまあまあ厳しい。出産できる病院が遠い、ファミリー・サポート・センターが未整備、町内での学校の選択肢は町立学校のみなど、町内で出産育児子育て(教育)をしようとした時に、様々な困難に出くわしておられる様子を伺っています。地理的・条件的な厳しさは現実を受け止めざるを得ません。
どちらかというと、「条件不利な田舎で子育てをする家族にしっかり寄り添う」という方が、しっくり来る気がします。子育て世帯が少ないといっても、置かれている状況・環境は、多様なのです。

島に暮らしながら子育てをしている全ての家庭に支援がいくには?どういう状況に持っていくのが目標なのか、というところをちゃんと据えて、仕組みを考えるべきだと思います。

委員会の議論の最後に、「(町立学校の給食を摂っていない子どもたちに)何ができるかは考えてみたい」とおっしゃっていただけたので、来年度のスタートまでに、仕組みを作っていただけることを期待…!!

給食無償化の財源に米軍基地関連交付金だけを充てるの?

今回は条例の他に、給食無償化のために新しく基金を創設する、という補正予算も上程されています。「学校給食費無償化事業基金」に、国庫支出金から141,187千円。いきなり1億4千万円の基金です。
各家庭から徴収していた給食材料費を、この基金から支出することになるのですが、年間340万円程度を見込んでいるとか。今回基金に積めば、4年間は続けられると。今年度から始まった「米空母艦載機部隊配備特別交付金」は、当面15年間は交付されると見込まれています。基本これを当てにして、今後余剰が見込まれる時などに、積み増ししていこうと考えているそうです。
給食費無償化をしている他県の事例を見てみると、ふるさと寄付金を活用しているところが見られます。

例えば↓

ふるさと寄付金だって、自力で稼いだ自主財源じゃないじゃないかと言われる方もいるかもしれませんが、意思を持って寄付くださったもの。そして自治体と住民(事業者)の努力で増える可能性のあるもの。せ・め・て、こういった財源を充てることも、今後考えていただきたいし、提案していきたいと思います。


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