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日本手話って知っていますか?

こんにちは!
”ろう社会と聴社会を程よくつなぐ”がモットーのわだです。

今日は、世間ではまだあまり馴染みがないと思われる、でもものすごく奥深い日本手話についてお伝えしたいと思います。
私は、日本手話という言語を知る聴者が増えることが、聴者とろう者の関係性を変えるのにとても大切なんじゃないか、と思っています。

なので、一度で伝えきれないかもしれませんが、わかりにくいところがあるかもしれませんが、読んでいただけると嬉しいです。

・日本手話とは

さて、みなさんは『日本手話』という言葉を聞いたことがありますか?
『手話』という言葉は聞いたことがある、知っているという方が多いと思いますが、『日本手話』となると、聴者で知っているのはろう者が身内にいる人や手話通訳業界だけではないかと思うほど、まだ世間ではほとんど知られていません。

そして、『手話』=『日本手話』でもありません。
業界用語的に言い換えているわけでもないんです。

じつは、今の日本には『手話』とつく言葉が2つあります。
・日本手話
・日本語対応手話

何が違うのかといいますと、、、

・日本手話
  ・ろう者(生まれつき、または日本語獲得前に失聴)が主に使う
  ・音声言語の日本語とは異なる文法体系を持つ視覚言語。
  ・ろう者、ろう児のコミュニティから生まれ発展している自然発生言語
  ・ろう者の手話 伝統手話という人もいる

・日本語対応手話
  ・中途失聴者(日本語を獲得後に失聴)、難聴者など母語が日本語の人 
   の一部が使う。
  ・音声言語の日本語と併用して使う(日本語を話しながら手を動かす)
  ・日本語文法に沿って表出するため、言語学的には日本語に分類される
  ・聴者が習得しやすいように人工的に作られたもの。
  ・聴者の手話 手指日本語 という人もいる

簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。
ウィキペディアのリンクも載せておきます。
ウィキペディア 日本手話
ウィキペディア 日本語対応手話

・世間で知られている手話は、、、

今、世間に知られている『手話』は、日本語対応手話が圧倒的に多いです。
その字のごとく、日本語に対応しているので聴者に分かりやすいんですね。
そして、日本語の単語一つ一つに手話単語を当てはめることが多いため、日本語を十分に理解している難聴者や中途失聴者は、コミュニケーション方法として使う人もいます。
人口を見ても、難聴者・中途失聴者>ろう者 

ただ、この日本語対応手話は、生粋のろう者(そもそも手話を一番必要とする人々)には、通じないことが多いです。

彼らの母語の日本手話は、視覚言語独自の法則、文法で成り立っていて、
会話のリズムも日本語のそれとは違います。

・日本手話の特徴

日本手話は、手指の他に顔の動き(眉、目、口、頬、顎)上半身の動き(肩、体の向き、傾け方)に大切な文法要素があります。
さらに言語で比較をすると、日本語と日本手話は言語スタイルが違います。
 日本語・・・あいまいな表現が好まれる。主語がなくても通じる。
日本手話・・・具体的に言う。主語が必要。
そのため、使用する手話単語が同じでも、話すリズムが違い、顔の動きなどの文法がないと、何を話しているのかわからない。という事態になります。
挨拶や簡単な内容であればなんとか通じても、複雑な話(登場人物が多い、途中で話が変わるなど)になるとお手上げです。

言葉でばかり説明してもよくわからないかもしれないので、
日本手話と日本語対応手話を比較した動画を紹介します。

国立障害者リハビリテーションセンター学院  手話通訳学科のチャンネルからお借りしました。
(ちなみに、国立障害者リハビリテーションセンター学院(通称:国リハ)は全国で唯一の手話通訳養成専門学校。2年間かけて日本手話を学びます)

どうでしょうか。
話すリズム、顔の動きの使い方など、違いますよね。
顔の動きは表情豊かな感情表現と思われがちですが、
気持ちを表現する目的ではなく、文法として使われています。

ホント?と思う方もいるかもしれませんが、ほんとです!
私の経験を話させていただくと、私の業務は、遠隔手話通訳や電話リレーサービスなどオンライン通訳でしたので、北は北海道から南は沖縄まで全国からご利用いただいていました。
そのおかげでたくさんのろう者の日本手話を見る機会があり、感情表現がオーバーな人、寡黙な人どちらもいましたが、それと文法的な使い方は全然別でした。(当然ですが)
そして、言語として確立されているからこそ、その文法を習得すれば初めましてのろう者でも読み取れるし、通訳が提供できるとも言えます。

・アメリカでは

日本ではまだ言語として(あまり)認知されていない日本手話ですが
アメリカでは1960年にギャローデット大学の英語教授ウィリアム・ストーキーという言語学者が『手話は音声言語と同様に独自の文法体系を持つ自然言語』という論文を発表し、言語学研究が始まりました。

ギャローデット大学は聴覚障害者のための大学。コミュニケーション手段はアメリカ手話と書記英語。
アメリカには他にも数校、聴覚障害者向けの大学があります。
日本のろう者も、日本財団やダスキンの奨学金を利用して留学しています!
日本国内で、手話言語学やろう者学を専門に学べる機関がないのが残念。。

・日本人だけど外国人?

ぜひ多くの人に、日本手話を知ってほしいと思っています。
もし言語に興味があって外国語を学びたいと思っている方がいたら、
その候補の中に日本手話も入れてほしいなと思います。

日本人だけど日本語が母語じゃない人。
ろう者は自分たちのことを言語的マイノリティと言っています。
その国の言語を学ぶ=文化を知る ことになるので、
日本手話を学ぶ=ろう文化を知る です。
ろう者から見ると、
日本語を学ぶ=聴文化を知る です。
私たち聴者の音声でのやり取りは、目を合わせなくてもコミュニケーションが成立します。
音を使わず、目で生きるろう者の手話でのコミュニケーションは、目を合わせるのが大前提です。
これだけでもずいぶんと違いますよね。

お互いの文化を知り合って、暮らしやすい社会になればいいなと思います。今は、圧倒的にろう文化を知らない聴者が多いと思うので、少しでも知ってもらえるように発信していきたいと思います!

・おススメの番組は

もし、手話に興味があって日本手話勉強してみたい、と思っている方がいたら、Eテレ みんなの手話 がおススメです♪
ジャニーズの三宅君が出演している、あの番組です。
カフェのオーナーをはじめ、あの番組に出演しているろう者は、日本手話界では知らない人はいないと思う第一人者の方々ばかりです。
手話単語はもちろん、顔の動きや使い方も丁寧に教えてくれるので
日本手話の特徴を知るのにもおススメです。
私個人的には、まず顔の文法を習得するのが手話上達の近道だと思っています。(難しいですけどね!)

・おわりに

長文、お読みいただきありがとうございました!
よくわからない、とかこれどうゆう意味?とはなにかありましたら
コメントくださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします♪

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