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起業における融資の経営者個人保証を不要とする制度の導入~「新しい資本主義」原案~

 神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
 一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。

 本日のブログは、起業について。

 2022年5月29日付日本経済新聞で、
  「創業融資の個人保証不要「新しい資本主義」政府原案」
という記事が掲載されました。

 同記事によると、「信用保証協会の保証がある場合、経営者の財産を担保にとる個人保証を不要」にして、「創業資金を借りやすい制度をつくる」とのこと。

 このような制度を導入することとした問題意識としては、
 「銀行から創業資金を借りる場合、信用保証協会による変死亜の保証……銀行と保証協会の双方から経営者の個人保証を求められる。自宅や自家用車などを担保として差し出す必要があるため、個人の財産を失いかねず、創業の意欲をそぐ一因となっていた」(上記記事)ということにあります。

 このため、「22年度内にも信用保証協会法を所管する経済産業省が内規を改め、協会が個人保証をとるのをやめる。銀行にも個人保証をとらないように求める。」とのことです。

 このような大きな制度変更を行う理由は、十分にわかります。
 思い切って起業してみたくても、万一失敗した場合には全てを失う、という状況では、起業の意欲が大きくそがれてしまうことは、想像に難くありません。
 それが、人々の起業を阻み、ひいて日本の活力を奪っている現状が、もはや放置できない状況まできているということでしょう。

 もっとも、個人保証を行わないということは、従前よりも、融資が焦げ付く可能性が高まることになります。
 モラルハザードを起こさないように、制度設計することも必要となるでしょう。

 そのようかことを十分に考えた上、なお、この制度変更は、大きなメリットがあると思います。
 「東京商工リサーチによると20年度の破産企業の68%で社長が個人破産した。日本公庫の19年の調査では、関心があるのに失敗時のリスクの大きさから起業しない人の77%が「借金や個人保証」を具体的リスクに挙げた。」とのこと。
 日本における起業状況に大きな変化が見えてきそうな制度変更となると想われます。
(終) 


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