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おばちゃんたちのいるところ

昨日は久しぶりにバスに乗って図書館に出かけました。乗っていたのは私を含めおばちゃん6人。次は「病院前」というところで、バスは病院への入り口を左折しないでそのまま国道を直進しました。「ん?」と思ったところ、運転手さんが「あ〜!通り過ぎちゃった!」

するとおばちゃんたちは全員、笑いましたね。            「やるやる、私もやるよ」「わたしも。うっかりね〜」とかしましい。  運転手さんは「すぐどこかでUターンしますから」と慌てているけれど、「たくさん乗れて得したね!」「うん、同じ料金でね!」と。      病院で降りたおばちゃんたちは口々に「お疲れさん」「ありがとう」と運転手さんに声をかけていました。

「おばちゃん」とか「おじちゃん」とか一括りにしてはいけないけれど、何人か集まった時には、やっぱり「おじちゃん」より「おばちゃん」の方がパワフルなんじゃないでしょうか。ちょっとゆるい感じのパワー。     

松田青子さんの「おばちゃんたちのいるところ」という小説がめっぽう面白かった記憶があります。怪談や幽霊をモチーフとした短編集ですが、確か去年、どこか海外の賞も受賞したような。具体的なお話はあまり覚えていないのだけど、登場するおばちゃん(の幽霊)たちが、あれこれ背負っていたりやらかしている割にパワフルで明るくて。夫を介護している時に「あれは元気のでる本だったな、そのうち読み返そう」と思っていました。言葉から力をもらうために。結局その時は時間も気持ちも余裕がなくてまだ読み返していませんが、手元に置いておきたい本です。

昔、永六輔さんが自らを「男のおばさん」と標榜していましたが、夫も「男のおばさん」でした。おしゃべりと美味しいもの、綺麗なものが好きで、言いたいことを言う。自分に甘いけれど人にも甘い。パワフルで面白い「おばちゃん」だったな。 

もし世の中の政治家がみな「おばちゃん化」したら、悪口や陰口、大げんかはあっても戦争はおこらない気がします。   


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