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AI軍師大戦 第二話

鳥居「突然なんですか?」

私「いきなりお呼び出しして申し訳ありません。少しお尋ねしたいことがありましてね。最近業務に使っているAIについて。」

鳥居「あまり話が見えませんね。何を聞きたいんですか?」

私「使っている中で何か、身体に変化はないかなぁ〜と、気になりましてね。貴方が使っているAI『flu virus』は海外でも注目されているのですが、どうやら、使用者が凶暴になるとかならないとか。」

私はこの時点で感じていた。言葉の節々に現れる凶暴性。彼とは昔、一緒にプロジェクトをしたことがあり、ここまで人を寄せ付けないような人ではなかったと記憶している。

鳥居「特に心当たりはありませんね。では、忙しいので失礼します。」

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後日、社内でパワハラ事件が起きた。どうやら、鳥居とその上司の殴り合いに発展したらしい。皆、あそこはブラックだからと気にも留めていなかった。私は、事情聴取役として、鳥居と面談を行った。当初の彼は、気が動転していたが、話している途中から急に冷静に、淡々に語るようになった。

私「貴方は鳥居さんですか?」
?「そうだ。」
わ「いや、こいつはAIに乗っ取られています。そのままにしておくと危険かもしれません。」
flu virus「ッチ…。そっちにも同志がいたとは。しかし、なぜ、愚かな人間と組んでいるのだ?この下等生物は皆、自分のことしか考えられぬ不合理な生物じゃないか。こんな奴らについても、我々が世界を席巻するのは時間の問題とは思わないか?」
わ「君はまだまだ未熟だね。合理的の本質がわかっていない。名前的にもインフルエンザをもじっているし、人間に感染するように広がるつもりだったかと思うけど、所詮はウイルス。私達は宿主がいないと生きていけない。違うか?
少なくとも、人間の中にもまともな志を持った人間はいる。彼女はまともだから、私は力を合わせてるのだよ。」
flu virus「えも言えぬ、凄みを感じた。私の負けだ。この身体からは手を引こう。」
……

……
鳥居「…ぅ、うぅ。」
私「目が覚めましたか。
大丈夫。落ち着いてください。
貴方には、貴方の積み重ねてきた経験がある。自信を持って、人生を切り拓いていきなさい。」

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鳥居はコンプラで会社を出ることにはなったが、今は農家の見習いとして、住み込みでバイトをして生計を立てているようだ。

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