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AI軍師大戦 第四話

私「お忙しいところ、インタビューに応じていただきありがとうございます。私、人事部の東雲(しののめ)です!よろしくお願いします。」

雲井「雲井です。よろしくお願いします。」

彼の一言だけで、元気な人だなぁと、好印象を持った。

雲井「早速なんですが、今回はどういったインタビューで?」
私「気になっていましたか。申し伝え遅れてすみません。私、社員のメンタルケア的なプロジェクトに参画しており、見本になるような方から、普段の生活習慣や考えていることなど、他の方にも共有してみようと考えた訳なんです。」

雲井「はぁ~。確かに、最近メンタル病む人多いですもんね。けど、私、見本になるようなこと、何も無いですよ。」

(…。笑顔が眩しい、そういうとこだぞ。)
心の中でツッコミを入れつつ、一息置いて…。

私「実は、見本になるような人とは、少し営利的になってしまいますが、会社からの評価がグンと伸びた方を対象にしていました。雲井さんは最近調子が良さそうなので、その変化点について、話を聞けたらなと思ってたんです。」

雲井「ほぇ~。評価いいんですね〜。素直に嬉しいですよ。しかし、変化点ですか〜。いつの話かな〜。」

旅ノリ「半年前くらいから、残業時間が少なくなり、アウトプットの回数も多くなっているようですよ。その期間で心当たりはないですか?」

雲井「ウワッ、びっくりした〜。喋るんだ。パソコン常に喋らせるようにしてる人、中々いないからビックリした。」

私「すみません。私が使ってるAIはそういうタイプなんです。よくオフィスでも独り言話してるって、同僚に引かれてるんですけど。旅ノリって言います。」

…。

私「じゃ、改めて、半年前くらいって何かありました?」
雲井「あ!ありました、ありました!
半年前なんていうと、丁度、上司にボコボコにされてた時期だったんですよ〜。何をやっても、あぁでもない、こうでもないと、半分言いがかりをつけられてるような感じでね。いや〜辛かったなぁ。」

私「いや〜。大変でしたね。
今はどうして?」
雲井「上司が交代しましたから!」

私「もう少し詳しく聴きたいんですが、元上司はなぜ交代したんですか?」
雲井「いや〜、なんでですかね〜。時代かなぁ。」

雲井「正直ね、フロア内に味方になってくれる人がいなくて困ってたんです。そんな時に、私もAIを使ってみたんです。(上司が揚げ足を取ってくる時の対処法)って。思えば、そのAIを使い始めてから、調子が良くなり始めたかもしれませんね。」

私「なるほど〜。ちなみに、対処法、なんて返ってきましたか?」
雲井「人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もあるって返ってきました。
それで、ハッとしたんです。
何も仕事をするにあたって、上司なんて言うのはただのポジションでしかない。大切なことは、実際に協力する手を動かす者同士が共通認識を持って、仕事を進めていくことだと。」

私「はぁ。それは、仕事の本質に関する部分かもしれませんね。」
雲井「私が行っていた仕事というのは、結果的に、部署を跨いだ業務の改善活動だったわけですが、そこで、上司が参加していない、参加したらしたで、情報を把握していないことが周りにもわかるような失言があり、他部署の関係者からも相当後ろ指を刺された挙げ句、交代になったようです。」

私「ドラマ化できそうですね。半沢◯樹みたい。」
雲井「実際、そんな見せられるようなやり取りはなかったですよ(笑)。しかし、こっちも、心療内科に初めて行くくらいには、メンタルやられてましたからね〜。元上司はクビになってないだけいいんじゃないですか?」

私「そうですね。
それにしても、正直、雲井さんのAI、まどろっこしくないですか?AIなのにはっきり答えを出してくれないんだなぁと。」

雲井「そうそうそう!そうなんですよ~。だから、普段は役立たずです(笑)。
けどね、このAI、解釈の幅を与えてくれるのが、逆に、私には合ってるんだろうなぁと思うんです。
ほら、言われたことだけやっていたら、人間が人間じゃなくなってしまうでしょ。人間のアイデンティティは、自分で考えられることです。
だから、私はこのAIが好きなんです。」

私「人間のアイデンティティは考えられることですか。おっしゃるとおりですね。
雲井さんのAIに興味が湧きました。
名前はなんですか?」

雲井「Sakamotoです。 
正式名称はRyoma Sakamoto」


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