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au/KDDIの大規模トラブルの記者会見を聞いて

【YouTubeで見た記者会見概要】
2022年7月2日午前1時過ぎに、ルーターの通常メンテナンスのための機器交換を行ったが、そのルーターがうまく動かず、それがトリガーとなって、au/KDDIの大規模障害が発生し、au網を使ったワイヤレスネットワークが長時間使えず、完全な復旧までは翌3日の夕方までかかる、という事故が起きた。NTTグループに次ぐ日本国内第二位の通信インフラの長時間の障害は、多くの関連システムにも大きな影響を与えたのみならず、救急関連などでも使われていた通信インフラでもあり、各方面に深刻で大きな影響があった。事後の補償も含め、KDDI社長や役員も3日午前に謝罪会見を行って、この状況を説明していた。

【記者会見の説明から】
私が思ったことだが、記者会見の説明での対応は、この規模の会社の役員レベルとしても、技術的なものが多い記者会見に、この時点でほとんど役職3~4人だけで対応ができていて、役員レベルまで「技術の会社」という良いイメージができた、と思う。質問の時間も十分に取られているのがよくわかり、好感が持てた。記者のほうの質問の技術レベルはやはり低い人が多く、単語としての「VoLTE」というキーワードで質問する記者が多かった。説明をよく聞けばトリガーはルーターの問題だった、ということに尽きるが、それがわかっていない記者は「VoLTE」という単語に群がった、という感じだ。

【大規模公共ネットワークのトラブルは「河川の洪水」】
素人が見ると「修復がすぐにされたのに、すぐに動かないで長引いたのはなぜか?」ということがわからない、という人が多いと思うのだが、この「事故」は「たとえ」で言えば「河川の堤防の決壊による洪水」のようなものだ。洪水のもととなった堤防は即座に修復がされても、流れ出た水が完全に引くのは時間がかかる。24時間動いている巨大なネットワークとは、そういうものなのだな。

【「使う人」は今後どうしたら良いか】
まずこういう事故は、これからも起きる可能性がある。どこの会社だから、と言うのでは無く、やはり人間が作ったものだから、確率は非常に低いものの、どこでも起きうる事故だ。だから、現在あちこちで作られているインターネットを使ったサービスなどのプログラムを書くときは「もしも回線がつながらなかったら」を考えて作る、という必要がある。また、人命に関わるなどの重要なシステムでは複数の会社の回線を同時に二重で使う、ということが必要だろう(例えば5Gで言われる自動車の遠隔自動運転、遠隔での手術システムのようなものがそれに当たるだろう)。現在の多くのネット、スマホのサービスでは「回線が切れたら」を考えているサービスはやはりかなり少ない。「使うだけ」のヒトで、回線を1つしか使っていないのであれば、復旧まで待つしかない、ということになる。

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