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スマホの充電についての記事はデマが多いから気をつけて

【記事のネタがなくなると出てくる「充電」記事】
なにかネタがなくなると必ず出てくる「スマホの正しい充電の方法」みたいな記事。正確な、現代の充電池についての技術を知っていて書いている記事があまりに少ない。アナログからデジタルまで仕事にしてきた自分としては、ちゃんとした情報を伝えたい、と思うのでこの記事を書くことにする。

【まず結論を言えば】
前項のリンクの記事をはじめ、多くのスマホの充電に関する記事は「スマホの電池を長持ちさせるには、充電が一杯になっても充電を継続するようなことはしてははいけない」と書いてあるのが普通なんだが、あれは「古い知識に基づいた技術者のデマ」というのが真相。普通に夜帰って充電器をつけて寝て、朝まで充電しても問題はない。

【スマホ充電のしくみ】
実は現代のスマホは「持ち歩くためにリチウムイオン電池が使われていることは、ほとんどの方はご存知だろう。私達はスマホに付属、あるいは別売りの「充電器」を買ってきて、スマホの中にあるリチウムイオン電池に「充電」し、電気を蓄えてから「充電器」を外して、電気が一杯にたまった充電池を抱えたスマホを使う。普通にそう考えるわけだが、それは間違っていないものの、最近のスマホの充電の仕組みは少し違う。バケツに水を水道から入れるイメージだが、現代のスマホの充電はもっと「頭がいい」のだ。

【「充電器」は充電していない】
実は、最近のスマホの中には充電や、充電した電気を効率的に使うのに回す(これを「放電」と言う)仕組みを効率的に行うために「頭のいい」「充電チップ(ICチップ)」が採用されている。ちなみに、「充電」と「放電」を合わせて「充放電」と言う。実は専門家が見るWebサイトには、毎月のように「充放電(充電と放電を管理する)ICチップ」の新製品(部品)の記事が載っている。たとえばこんなやつだ。ICチップメーカーではこういう物もある。「電池の充放電ICチップ」は星の数くらいある。また、こういうICチップは電池の温度、周囲の温度も考えて、かなりきめ細かい充電や放電のコントロールをしているので、人間ができることはほとんどない、と言っていい。

つまり、スマホの電池の充放電はスマホ内蔵の「充電ICチップ」が行う。そして、それに充電のための電源を供給するのが、私達が普段「充電器」と呼んでいるものだ。それだけではなく、充電しながらスマホを使っても上手くそれをコントロールしているので、電池が劣化しないようにしている。

つまり「充電器」が単独で充電しているわけではない。

【充放電ICチップはすごく賢い】
こういった充放電のためのICチップは日々進化しており、現代の充放電用ICチップの能力は非常に高く「完璧にやってくれている」と言っていい。電池の劣化に対する過充電への配慮もやっている。スマホを作る技術者は半導体部品各社のこれらのICチップのどれを選んでも、まず間違いないものができる。

【再度結論を言えば】
現代のこういった電子技術の発達は日進月歩で、かつスマートフォンのように数が出る市場では競争も激しく、技術進歩も速い。だから、普通に使う人は充放電について「電池が減れば充電し、一杯になっても気にせず、朝は充電器を外して外出すれば良い」のだ。電池の劣化も気にしないでいい。

1.充電は「過充電」を気にしなくていい。
2.「完全に使い切ってから充電すると電池が長持ちする」も気にしなくていい。
3.「使いながら充電」でも問題なし。


これが真相だ。スマホの充電について、利用者のあなたができることはない。全て内蔵のICチップがやっているから、むしろ余計なことはしないほうがいい。

【極端な低温と高温は?】
電池について一つだけ気にすることがあるとすると、温度だ。極端な寒い場所で長時間スマホを使う・充電する、極端な暑い場所でスマホを長時間使う・充電する。それは「爆発などの事故につながることがある」が、多くは賢いICチップがなるべく爆発しないようにしてくれている。ICチップが充電と放電をしながら温度も監視しているからだ。あとは、スマホを落とすなど、極端な衝撃を与えないことだ。これはどんな電子機器でも同じだけどね。

【充電しっぱなしOK】
スマホの電池はかように内蔵のICチップによって大事にされているので、普通はまずすることはない。最近はコロナ禍で自宅にいることが多く、スマホは充電器に一日つながれたまま、ということが多いだろうが、それでも問題はない。適当に充放電は中でコントロールしてくれている。なぜ充放電用のICチップがこんなに短い間に発達したのかというと、スマホは台数が出るので、ICチップメーカーとして良い商売になるし、より高度なものを作れば採用されることも多くなるからだ。また、電池は電子技術者でちゃんと扱える人が少なく、多くの技術者はICチップに電池のコントロールを託すしかない、という事情もある。結果として、非常に多くの機能を詰め込んだ非常に賢い充放電用ICチップが多く作られ、毎日、しのぎを削って競争しているのが実情だ。だから、競争で性能も上がり値段も安くなる。しかも、スマホなどの機器では電池は「命」であると同時に、集中的に高い密度のエネルギーを溜め込んでいるところだから、いざ事故が起きると「XXが発火!」などと大きくニュースになることも多く、事故を起こした製品やメーカーの売上に大きく関係する。充放電用のICチップは、スマホのメーカーの生死をも決定するかもしれない。実はそういう意味でも「重要な部品」でもある。

【でも、2年使ったら電池は交換しよう】
しかしスマホ内蔵の電池も使えば「くたびれてくる」ので、1年目で「あれ?十分に充電されてる?」と気がつくことがあるかもしれない。そして、2年目になると、普通の使い方であれば、電池がかなり劣化してきて、いくら充電しても使える時間が購入時よりも目に見えて短くなったりする。そうなったら、実は膨らんできたり、爆発の危険もあるから、賢いスマホ内のICチップは「ここで強制的に充電すると危ない」と判断して、充電も完全に行わない、などを考えてくれている。つまり、こうなれば「電池交換すべき」だし、購入して2年めとなれば、新機種も出ているので、スマホ本体ごとの新品への交換がお勧めだ。

つまり「普通の使い方では2年が電池の使用期限の目安」だ。

【5年前の知識が役に立たない】
こういった技術の世界は、今や5年前の技術は役に立たない。電子技術だけじゃなくて、世界情勢もそうだね。

【最後に忠告】
ということで、充放電用のICチップは日々進化して安全になっているから、スマホはできるだけ新しいものにするのが「安全」だ。「もう2年使っているので電池がダメになって」というスマホはすぐに新品と取替えよう。安全を考えても、電池の持ちを考えても、それがいい。二年前の技術と今の技術は「雲泥の差」だからだ。

※ この記事に続編を書きました。


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