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「そこにあるから」使うのではなく

【今そこにある「商品」】
IT機器は、現代の多くの人にとって「いまそこにあるから使うもの」になっているだろう。たとえば、自動車は、多くの人にとって「こんなものが欲しい」から「作る・作ってもらう」のではなく「既にそこにある買うことができる商品を選ぶもの」になっている。実際「タブレットはこんなものを買いました」という記事はnoteでも多いけれども「まだ無いけど、こんなタブレットが欲しい」という「今売っていないものを望む」は少ない。あったとしても、「電源ボタンの位置を変えて欲しい」程度の多少の改良くらいのものだ。なにを望んでも、たいていのものは、かなり安いコストで実現できる世の中になったにも関わらず、だ。

【今そこに無いものは「まだ商品ではない」】
しかし、ITの発展もそうだが、実際には「こんなものが欲しい」から作る、ということでITの発展は始まった。インターネットも「世界中どこにいても、瞬時に情報のやり取りができる仕組みがあるといいね。できれば、写真とかライブも送ることができるといいね」「田舎のおばあちゃんになにかあったとき、すぐに状況がわかって、画像つきで電話できるといいね」などの「これがあるといいね」があったからこそ、それを実現するために、そういう仕組みを作った。できれば、低いコストでそれが誰でも使えるようになるといい、と、多くの人は考えたはずだ。しかも「そういうもの」は世の中に無かった。だから、インターネット経由での「テレビ電話(それが無かった頃のビデオ通話についた名前)」ができた。そして、これらの仕組みの重要な「ローコストで世界中につながるデータ通信の基盤」として「インターネット」が必要だ、と言うことになったので、インターネットを作ることにしたのだ。いや、考えた当初は「インターネット」なんて名前も無かっただろう。想像したそのときに無かったものは名前も無かったから「名前から作った」のだ。

【「これが欲しい」にも二種類ある】
自分の中には「これが欲しい」という、自分の将来像を頭の中に描いて欲望を掻き立てるイメージがある。自分自身は今こんな身だけれども、将来はこうなりたい、というのもあるだろうし「こういうものを買ったら、こんな生活が送れるかも知れない」というものもあるだろう。しかし、今は、日本というこの地域に限っては、モノがたくさん安く世の中にあるので、生きていく最低限の生活をするものはなんとかなる。だから「こういうものがあれば、今の自分とは違う気分や自分になれる」と思わせるものを「商品」として売って、お金を回すのが、現代日本における「資本主義」だ。それを「欲望の資本主義」という言い方をする。これは「売っている商品を得ること」で「なりたいと夢見る自分になる」ことだ。「商品」と言っても「モノ」だけではない。「英会話」だって「商品」だ。「今、自分が出来ない英会話ができれば、世界をまたにかけたビジネスマンになれる。収入も増える。なんでも好きなものが買えるようになる」と夢見る。これも「夢を実現する道具」であり、お金で買える「商品」だ。

一方で「まだ世の中に無いものを得る夢を見る」という「夢」もある。ドラえもんのポケットから出てくる「アレ」だ。「そんなもの実現できるわけがない」と、最初から得ることをあきらめるのではなく、なんとか実現しようとする、という努力をする。そして、自分だけではなく、多くの人が欲しがるであろうものができたとき、それを他の人にも売る、という「商品」にすることによって、「それ」が「お金を得る仕事」になることもある。

つまり「欲しいもの」には2種類ある。「資本主義社会の中でお金を払って得られるもの」と「資本主義社会の中でお金を払っても得られないもの」だ。人間社会の発展にとって重要なのは、もちろん後者だろう、と私は思っている。

【「夢を見よう」ということは】
昔から「少年よ大志を抱け」とかって言うわけですね。でも、人間の持つ「欲望」には、おそらく二種類あるんじゃないか?。「(1)今、目の前の社会の内側にある夢」と「(2)いま、目の前の社会の外側にある夢」だ。今の資本主義の世の中では、(1)は「お金で買える夢」で、(2)は「お金で買えない夢」という言い方もできるだろう。ときにはこの(1)と(2)は一人の人の中に混在し、世の中の移り変わりや自分の環境の変化で、(1)と(2)の自分の中での比率が変わったりするのだろうな、と思うんだな。こういうことはその人の外側からでは、ちょっと見ただけでは伺い知れないものだ。

【自分の中の「2種類の欲望」を意識しよう】
多くの現代人は自分の中でのこの「2つの種類の欲望」を持つものだが、こういうことを意識して自分の欲望を分類している人は少ないだろうけれども、ぜひ、意識して「分類する」のをおすすめする。それは「自分とは何者か」を直に自分自身に見せてくれる入り口になることがあるからだ。

そして「世の中をリードする人」の多くは、(2)の夢をより多く持つ人だ。できればあなたが、そういう人になってほしい、と自分は思うのだ。でも「(1)お金で買える夢」を持つ人が、悪いってことはない。それでもいい。でも、つまらなくないか?ってことだ。

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