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「科学」の話をしよう

【「科学」という単語の由来】
「科学」という単語は、英語だとScienceになる。そんなことは知っとるわい、となるだろうが、日本語の「科学」という単語の奥は深い。「科」の
字は、例えば動物や植物の分類で「XX科XX目」なんて言う分類をするのを覚えている人もいるだろう。あの「科」だ。これは「分けて、分けたものにそれぞれ名前を付ける」という意味だ。つまり、それをする学問だから「科学」という。そして、科学では「分析(Analyze)」をする。例えば、目の前の花には「花びら」があり「おしべ」があり「めしべ」があり「茎」があり「葉」があり。。。とバラバラに分けられるわけだが、分けて、分けたものそれぞれに名前を付けて行く。「分けて」「名前を付けて」という作業を延々とやる。そして、分けたものはおそらく、分ける前よりも「単純」になるから、理解がし易いはずだ。だからそのものの「秘密」がわかるはずだ。と、思う。だからひたすら「分けて」「名前をつけて」を繰り返す。そして、もう分けられない、となったそのとき「花」とは「花びら」と「めしべ」と「おしべ」と「茎と」「葉と」。。。が組み合わさったものだ、ということになる。

【分析は逆ツリー構造になる】
ところで、前述の「分析」は「逆ツリー(木)構造」になる。AはBとCでできているが、実はよく見ると、CはXとYが組み合わされたもので、ということが、重なることが多い。結果として、枝分かれの先に枝分かれができる。更にその先にさらなる枝分かれができる、そしてその先に。。。ときりがない。こういう構造を「逆ツリー(木)構造」と言う。そして、枝分かれする部分を、英語では「node(ノード)」という。枝分かれしたところで分かれたものは、2つ以上の枝のどちらがどちらかを間違えないように、それぞれ名前を付ける。だから、同じnodeについている2つ以上の枝分かれの「名前」は、同じであってはいけない。必ず違うものにしなければならない。そして、そのnodeにも名前がつく。

【「統合」は逆を行く】
こうやって、この逆ツリー構造を「降りていく」ことを「分析(Analyze)」と言うのだが、逆にこれを辿って上に行き、複雑なものを作り上げる、ということもできるはずだ。それを「統合(Integration)」と言う。

【パソコンのファイル構造も同じ】
現代の科学というのは、つまりこんな一般構造をしている、と言うのは、科学を仕事にする人間にとっては常識だが、そうではない人のほうが当然世の中には多いだろう。しかし、最近はパソコンなどを使うことも多いと思うが、そのパソコン(タブレットやスマホでも同じ)の中での「ファイル」の整理はすべてこの「科学」の構造を使っている。「フォルダ」があって「ファイル」がある。あの構造そのものだ。1つのフォルダの中に、同じ名前のファイル(フォルダ)を2つ以上作れない、というのはこういうわけだ。

【科学のやり方とは】
つまり、科学の原理とは「分ける(分類する)こと」「分けると、簡単になって理解しやすくなる」と同時に、それを反対にたどれば「なにか複雑な素晴らしいものができる(はず)」ということだ。

【現実の自然は厳しかった】
とは言うものの、バラバラになった「花びら」「おしべ」「めしべ」「茎」「葉」を組み合わせて「花」はできないし、それらしく接着剤でくっつけたとしても、花は死んでいる。フランケンシュタインの映画(つまりそういう西欧科学的感性であの物語は作られた、ってことでもあるんだが)じゃないんだから、とは思うが、そういうことが現実に起きている。生物学は代表的なものだが、生物学であらゆるものを分類して細胞まで小さく切り刻んで、それでも飽き足りないので分子のレベルまで切り刻んだら「あれっ?炭素(C)と水素(H)と窒素(N)と酸素(O)だけになっちゃった」という、分けて見たらむしろ単純だけど、分けた途端にもう統合はできない、もとに戻せない、ということがわかった。生物の秘密は分けても何もわからず、実はその「組み合わせ」に秘密があった、ということがわかってきた。そしてこの「組み合わせ」の元となる「素材」は「CHNO」だけで良く、その組み合わせは人間一人の頭の中には入り切らないくらい複雑かつ膨大なもの、というのもわかってきた。いや人類全部の頭の中にさえ、分けていっても入らないかもしれない。

【複雑で膨大なものをどうする?これ?】
人間の科学では、人間の頭の中に入る以上のものは扱えない。これまでは人間の頭の中に世の中のものはみんな入るものだ、くらいに思っていたのが、実はそうじゃない、ということがわかったのだから、さて、この「成果」が出たとして、この成果をいかに次世代につないでいくか、ということが問題になる。じゃ、いままで積み上げてきた「科学の研究の成果」とはなんだったのか?これからどうすればいいのか?ということになった。

いま、科学というものは、こんなところにいるのだ。

そういや、葉っぱ一枚だけ本物をちゃんと作った、という話は聞かないよね。まだ。

お?この羊羹の下にある葉はビニール製かぁ。

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