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カルロス・ゴーン被告の日本脱出を巡るトルコの不可解な関与

大晦日、正月ムードに水を差す大事件が、日本国内のみならず世界中をかけ巡りました。日産の元CEOカルロス・ゴーン被告の国外逃亡です。ゴーン被告は既に29日には出国しており、休暇モードの日本当局を混乱させるためわざわざ大晦日に発表したのではないかと憶測を呼びました。

ゴーン被告は日産CEO時代の特別背任等を巡り裁判中であり、現在海外渡航を禁じられた保釈中の身です。複数のパスポートは弁護団により管理されていました。ゴーン被告はプライベートジェットを使い、正式な出国手続きを経ずに当局の監視の目をかいくぐり国外脱出に成功しました。レバノンのメディアは箱に入ったとも伝えました。


ゴーン被告は日本脱出後まずトルコ、イスタンブール空港に着陸しました。トルコの新聞ヒューリエットのコラムニストは早速ゴーン被告のトルコ経由に関する奇妙な点について報じました。

その機体には3人の乗客がいることになっていましたが、2人の外国人しか降りてきませんでした。また、スタッフと思しきトルコ人2名も搭乗していたとのことです。トルコ当局は2日、ゴーン氏の国外逃亡に関与したとして7名を逮捕しました。ここで先ず大きな疑惑があります。その機体はかつてあのレザ・ザラブが所有していたチャレンジャー機なのでした。レザ・ザラブとはエルドアンと交友関係のあった政商で、対イラン制裁破りの金密輸に関与したとしてアメリカで逮捕されました。この事件にはトルコの大手銀行「国民銀行」も関与しており、アメリカでは裁判が継続中です。レザ・ザラブの手から離れたそのジェットはトルコ政府の管理下にありました。そのジェットが格納庫に入って暫くして、別の飛行機がそこから離陸しました。トルコ政府3日正式に格納庫でゴーン被告の飛行機乗り換えが行われたことを認めました。関係者とされる7名をすぐ逮捕したのに対しこちらはやや時間がかかりました。ぎりぎりのところまで公表したくなかったのだと推測されます。

ゴーン被告は一人で私邸を出たことが確認されています。しかし、この脱出劇が彼一人によって仕組まれたものなのでしょうか。国外脱出を望むゴーン被告を唆し、諸々の手配を行った勢力がいるのは想像に難くありません。その一つがオヤック・ルノーというトルコの自動車会社があります。

このオヤック・ルノーはルノーとトルコ軍の退役軍人年金基金を母体とするオヤック財閥の合弁会社です。この財閥は軍との強い関係を持っているとされます。軍の勢力が絡んだ国際的陰謀という可能性が浮上しました。トルコ当局が説明をしない限り疑惑は深まるばかりです。

ゴーン被告はレバノンには合法的に入国したそうですが、日本からは違法に出国しています。ICPOはレバノン政府にゴーン被告の拘束を要請しました。

レバノン当局は事情聴取をするとのことです。ゴーン被告お得意の饒舌でトルコの関与について明かしてくれれば面白いことになります。

エルドアンがどのような関与をしたのか、また関与していないのかは定かでありません。しかし、トルコがあらゆる国際的陰謀に関与する国家であることが改めて浮き彫りになりました。ISへの支援と石油取引、占領したアフリンにおけるオリーブ略奪とそれらの産地偽装によるEU諸国への輸出、対イラン制裁破りの金密輸、ベネズエラの金を狙ったマドゥロ支援…あらゆる国家犯罪はトルコに通ず、と言えそうな現状があります。トルコが「ならず者国家」であることを示した一件でした。

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