私が記事を書く意義と目的(その2)

前回の記事では現在のスポーツライターという仕事に就くことになったきっかけ、書き続ける中で自分なりに考えた意義と目的について書きました。

今回は書ききれなかった部分について更に触れたいと思います。

これは前回のお話しのように何か明確なきっかけがあったわけではなく、自分の人生の中で最も影響を与えられた「野球」についてシンプルにより多くの人に楽しんでもらいたいという思いがあります。

自分は7歳から22歳まで15年間プレーヤーとして野球にかかわり、その後も野球が常に生活の中心にありました。ふとした時にも考えていることの大半は野球についてです。年間300試合も野球を見て、更にずっと野球のことを考えていて飽きませんか?と聞かれることもありますが、全く飽きることはありません。むしろ年々野球に対する思いは強くなっているほどです。

自分は少し極端な例ですが、2020年現在、日本においては最もメジャーなスポーツは野球であることは間違いありません。なぜこれだけ多くの人(日本人)を熱狂させるのかを考えるのですが、現時点での自分なりの答えは大きく分けて以下の3つかなと思っています。


①団体競技でありながら出場している全選手に主役となる機会がある

②フィジカルだけでなく技術、戦術で戦える余地が大きい

③活躍できる選手に多様性がある


一つ目は野球というスポーツの特性にかかわるものです。メジャーな団体球技ではサッカー、バスケット、ラグビーなどがありますが、いずれも「ゴール型」と呼ばれる種目で最終的に得点に絡む選手は限られています。サッカーなどでは試合中に選手が「消える」という表現がされることも少なくありません。一方で野球は出場している選手全員が打席に立つ機会があります。言い換えれば団体競技でありながら個人技の要素も強く、その部分が大きくフォーカスされるという点はかなり特殊な競技と言えると思います。

二つ目は日本人に人気がある原因の大きなものかと思うのですが、フィジカル的に劣っていても技術や戦術で対抗できるという部分が大きいという点です。特に技術は投球、打撃、守備、走塁と多岐にわたり、この点を深堀りしていくと野球の楽しさは一気に広がるはずです。また故野村克也氏の言葉で、「野球の試合で最も長いのは考えている時間だ」というものがありますが、まさにこの部分があるからこそ、日本の野球が世界で戦えているというのは大きいと思います。考える要素が多く、周りで見ている人が口をはさみたくなる要素がこれほど多いスポーツは他にはないのではないでしょうか。

そして三つ目は多様性。ラグビーはフォワードとバックスで体つきは違いますが、当たり負けしないだけの体格はやはり必要となってきます。サッカー、バスケットはまず走力が大きく劣っていては一流選手になることはできないでしょう。一方で野球はアスリートとは呼べないような体つきでも大活躍している選手は決して少なくありません。中村剛也選手は「おかわりくん」という愛称でも知られるいわゆる肥満体型ですが、突出した打撃力を武器に何年もトップクラスの打者に君臨しています。石川雅規選手は170㎝に満たない身長で体格も華奢ですが、卓越した投球術で通算173勝をマークしています。他の競技でも身体的なハンデを乗り越えて大活躍している選手はいますが、これほどまでに多様性があるのは野球だけではないでしょうか。一流選手になれる道筋が多いというのは競技としての大きな魅力だと感じています。


もちろんここで挙げた3点以外にも野球の魅力を構成している要素はまだまだあります。野球が盛んな日本だからということもありますが、これだけあらゆる切り口から取り上げられるスポーツはなかなか他にはないでしょう。それだからこそ多くの人が自分の人生や生活を投影して楽しめることは間違いありません。

自分が取り上げるテーマは主に野球の技術、プレーに関するものですが、それをきっかけにより多くの人が野球の魅力に気づいてくれればこんなに嬉しいことはありません。一人でも多くの野球ファンが増えるように、今後も活動していきたいと思っています。

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