離婚することにしました。21
配偶者と一切コミュニケーションを取らなくなって3年が経過していた。
匂いや音など配偶者から発せられるもの全てに対して嫌悪感はあるが、それなりにこのコミュニケーションが全くない暮らしに慣れてきて、楽しく暮らす時間が増えてきた。
お話が上手になってきた3歳の子供と出掛けるのは本当に楽しくて、しょっちゅう二人で外出した。
乗り物好きな子供とリニアモーターカーの試乗にも行ったし、ミュージカルも観に行った。
翌年4月から通う大学院に合格したし、表面上は平和な日々が続いていた。
子供が血便で入院した。
早朝急激に体調が悪くなる子供とタクシーで病院に向かった。
入院手続は私が全て一人で行った。
配偶者はショックを受けた気持ちを和らげるためか、気持ちを遠くに飛ばして心ここにあらず。
まるで役に立たなかった。
実は関係悪化して2年を経過したころ、配偶者に一度話しかけた。
ちょっと話をしましょう、と。
配偶者は、
話合いをするつもりはない。
離婚と決まったのなら、その時は話し合いに応じます。
そう言ったきり黙った。
私は、離婚は今のところ考えていないが、このままでは良くないとは思っている事と、配偶者自身は今後どうしたいのか聞きたいと伝えた。
配偶者は少し考えて言った。
『現状維持で。』
正直、吹き出しそうだった。
私は仲直りしない選択が圧倒的に大きくなってきていたからこそ、配偶者がどうしたいのか聞きたかった。
このままで良いと思えなかったから。
それがまさかの現状維持とは。
事実は小説より奇なり。
想定外の回答を受けて頭がクラクラした。
子供が心配そうな顔で見ていたので、話し合いをやめて部屋を出た。
これ以上話し合っても私は答えを出せないし、配偶者も答えを出すことが出来ないと思った。
私の中の、少しだけ残っていた仲直りをしたい私が、
ずっと変わらないでと言われたたから私はずっと変わってないよ、何も。
そうつぶやいて、消えうせた。
数年後、子供の小学校の入学式があった。
私一人で参加した。
配偶者からは
『子供の行事は一切出ないから、いちいち声を掛けないでください。』
そう言われていたからだ。
ほとんどの家庭はご夫婦で参加されており、この時ばかりは私はなんで独りぼっちなんだ?と一瞬悲しくなった。