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人材戦略の方向性「3つの窓」

 皆さんが待ちに待っていた、あの、2023年版中小企業白書でも予告されていた「中小企業・小規模事業者 人材活用ガイドライン」が、ついに、このたび、2023年6月22日に公表されました。いや...正しくは、されていました。せっかく素晴らしい内容なんだから、もっと知ってもらえたらいいのになと思いまして、早速ナナメ読みした結果を共有します。
 結論的に、私としては「3つの窓」の考え方が分かりやすかったな、自分の頭が整理できたなって思っています。3つの窓とは...これだ(↓)。言いたいことはもはやこれだけ。先に言っちゃったので、この先、ぐだぐだ書いてあることの意味は半減する(笑)

人材活用ガイドラインより

経営戦略と人材戦略の一体的推進(ガイドライン活用のポイントから)

 早速冒頭から辛口なコメントが出てきます。「経営戦略に紐付かない、対症療法的な人材戦略では根本的な課題解決はできません」と。
私の理解では、この順番です。
①会社にビジョンや目標があれば、それに向けた経営戦略が立てられる。
②経営戦略があれば、戦略を実行する事業計画や「人材」の話ができる。
ということで、経営戦略なくして人材戦略なし、なわけです。

ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスはあるのか。ところでそれは、浸透しているか。

 ガイドラインはこう続けます。人材戦略検討の基本的な考え方として「経営方針や事業の在り方に立ち返ってみましょう」「自社のミッション/ビジョン/バリューは全社的な取組実行に有効です」と。

人材育成ガイドラインから

 言いたいことは分かる、分かるよー。ただこの、ミッション、ビジョン、バリュー、おまけにパーパスってものを、理路整然と素人でも納得できるように口頭で説明できる人って、世の中にどれだけいるんだろうな、と思うわけです。少なくとも自分にはできないな、とも。
 さらに言えば、どこの会社にだって、ビジョンっぽいものとか、パーパス的な言葉があったりして、それを強引にホチキスしたってしょうがないってわかっちゃいるけど、じゃあ、ガラガラポンってしますか?っていうと、相当なエネルギーが必要ですわな。 
 救いがあるとすれば、どれか一つでも社員一人ひとりに浸透していること。そうすれば、それが仕事の判断基準になっていて、きっとその会社には一体感があるはず。
...で、ところで我が社ではどれか一つでも浸透しているかといえば、途端に自信がなくなってくるのは、私だけではないはずです。

「3つの窓」とは。

 人材戦略を検討するための3ステップとはこれ(↓グダグダ言うより見たほうが早い)。ステップ1もステップ3も、もちろん重要なのですが、入りやすい、頭の整理になる、スッキリしそう、なのはステップ2かなって思いました。それが「3つの窓」。
 やれ「人材がいない」だとか「人手不足」だとか耳にするわけですが、それって中核人材が育っていないのか、業務人材が不足しているのか、どっちなんだい?「いや、どっちもでしょ」という結論もあり得ると思いますが、どっちなんだろ?と整理することが第一歩でしょ、という至極シンプルですが、初動を間違うと全てを間違うという、根本的な図です。

人材活用ガイドラインから

そして支援機関に求められること。

 このガイドラインの冒頭に、こんなことも書かれています。「特に、中小企業・小規模事業者に支援機関が伴走して課題解消を目指す際に活用いただくことを目的に作成しました」と。忙しい経営者に「見とけ、ぼん!」するんじゃなくて、「お前らが見て咀嚼して、経営者と一緒に考えなさい」ということです。
 そういう視点で改めてナナメ読みすると、最後の方の「支援機関におけるガイドライン活用のイメージ」が重要になってくるわけです。例えばこんな感じ。

人材活用ガイドライン「中小企業と支援機関の販路開拓に関する対話」より

 販路開拓しようと展示会や助成金の相談に来たけど、本当の課題は販路開拓する人材だった、というもの。これは分かりやすい例ですが、大事なのは...
①会話する中で、違和感を感じて(嗅覚が大事だな)、
②断定しないで、幅広に質問してみて(オープン・クエスチョンと言う)、
③相手に気づいてもらう(相手が納得しないと意味がない)。

...という非常に高度なテクニックの組合せなわけです。
これって、支援機関の皆さん、できてますか?(と自問自答)。ガイドラインは、私たち支援機関向けに、こうも言っています。「ところで君たち、困っているようじゃが、経営力再構築 伴走支援ガイドラインは読んだかね?と。
 そうかそうか、喜んで読もうじゃないか(ナナメ読みだけど)。ということで、後半に続く。


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NORICON@中小企業診断士
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