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日々の息継ぎ(詩集)

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眠りにつくための、毎日の詩作
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#詩作

ムク

同音異義語が許せない 同じ音なら同じ意味であってほしい 例えばムクだ ジャイアンの犬は な…

1

アトミズムの友だち

人嫌いの友だちがいた 彼は僕を友だちだと思っていない しかし僕は 彼が人嫌いだという一点で …

影のように

今夜だけでいい 眠れないんだ 暗やみに つぶされる 消えちまうよ 君がいるから 情けないんだ …

2

私の気持ち

あなたは私の気持ちなんか わかってくれない いつだって私ばかりが損をしている 私が大切にし…

4

暗殺者

暗殺者 暗に殺すと言うが 殺した時点で大騒ぎになるので それ、暗殺じゃない では本当の暗殺と…

3

勿忘草

足を止めて ともに静けさのなかへ 自由と放埒の違いはわかるね? 私たちに必要なのは 断罪人で…

2

夢の島

夢の島に行ったかい? そこはかつて海だった 遠浅の海は埋め立てられ 南国リゾートへ 僕はそこへゴミを捨てにいった 来る日も来る日も ゴミを捨てた 生ゴミもそのまま捨てた やがて無数のハエの楽園となった それでもゴミを捨てた それが僕の仕事だった ハエは仕事帰りの僕の部屋にもついてきた ハエ叩きは確かにハエを叩くのに便利だったが ハエを根絶することはできなかった ハエを根絶するためには ゴミを根絶しなければならなかった 僕は上司の命令でゴミを燃やした ゴミは捨てるもので

懐かしさの構造

懐かしさの構造は 忘却と匂いと勘違い 時間と感覚と錯覚なり いやらしさの構造は 意外性と媚…

落星

一筋の星が光線のように現れ 今にも落ちてきそうだった 私は奇妙な夢を見ている そう言い聞か…

1

千の心臓の破裂

千の心臓の鼓動の後に 千の心臓の破裂を聴いてきた 君の魂の牢獄の 内なる獣を誰が飼い慣らす…

1

日蝕

僕は窓際に座っていて ふと、眠りに落ちた 君は僕に話しかけたね でも、僕は答えられなかった …

1

眠れない女の子

むか〜し、あるところに、眠れない女の子がいました 女の子はお父さんに、怖いから一緒に寝て…

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朝起きたらスマホになっていた

モバイルさん、モバイルさん、私を買って(私を狩って?) ふとそんな声を聞いたかと思うと …

1

ライ様

ライ様、来たと、おばあちゃんが言う ピカとドン ピカと光ると 耳を塞ぎ ドンと鳴ると 目をつむる ああ、あさましき おさなごよ 何を恐れる ライ様はな 雨の恵みをもたらし 涼ももたらす 神鳴るゆえに かみなりと言うぞ 天を統べるものなるぞ と言い終わるか終わらないうちに ピカとドンが同時に発生 おばあちゃんは気を失う はい、どうも、こんにちは 庭に雷の子が落ちてきた おへそを取りに来ましたよ ぽんぽこりんのお腹に でべそのそこの子 おへそを取られるか それとも僕の代わりに