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HRBPってなんだろう?

2019年の9月からHRBPというものを担当して、そろそろ2年と半年が過ぎようとしているので、このHRの形態をあらためて見直してみよう。そんなエントリーです。

HRとHRBPは違う?

まず、僕が気づいたのがHRBPとHRはそもそもの性質がずいぶん異なるということ。
「HRの知識や経験を活用して様々な課題に取り組む」というところは同じなのですが
BP(ビジネスパートナー) なんて言葉がHRの後ろについただけで、事業との距離感が全く違うのです。
HRが仲の良い(かどうかは色々あると思います)隣人だとしたらBPは家族みたいなイメージです。

うちのHRは事業と一体だよ!っていう声もあるかと思います。
会社の事業が単一もしくは2-3個、または会社規模が300人以下というなら
まぁそうかもしれませんね。

もし、一体感があるとしたら、それは経営と事業執行がまだ分離されていない規模の会社ということになります。
なぜなら、経営に対してのBP機能がHRで、事業執行に対してのBP機能がHRBPだからです。もう少し言及すると経営に対してのBP機能はCHROが担うのかなと個人的には思っています。

HRBPの組織がある会社を前提にもう少し違いを整理してみます。
全社HR(HRBPと比較し安いように便宜的にHRを全社HRと呼びます)が経営のBPだと考えると経営戦略の実行手段として最適なHRを展開していくというミッションを持つことになります。経営戦略なので短くても3-5年の計画になると思います。ほとんどの場合、さらにその先の継続性も見据えるので10年なんていう時間軸になることもあるはずです。その時間軸の中でHRの戦略を設計し実行するのが全社HRです。
※時間軸はその会社の属するドメインで異なります。

一方でHRBPは事業戦略の実行手段としてHRを展開していくことになります。
その期間は経営戦略とは異なり1-3年、長くても5年ぐらいの時間軸になります。
そのためHRBPが展開するべき施策は最長でも3年という時間軸の設定が必要です。
(全社人事はHRBPがカバーできない長期的な施策を展開するという役割分担になります)



この辺りは、会社そのものを(永続的に)継続していくという視点と、プロダクトライフサイクルを勘案しながら事業を展開させるという視点の違いなんだなと僕は整理しています。

会社の中でのHR機能のカニバリについて

このような感じで見ていくと、全社HRとHRBPの機能のカニバリが気になるかもしれません。確かに一部はカニバリが生まれるかもしれませんが、基本的に全社HRの粒度で拾いきれないものをHRBPが拾うので連携はあるもののカニバリは生まれにくいかなというのが僕の意見です。

ちょっとこの図を見てください。

全社のHRとHRBPの役割のイメージです。

①専門知識(全社HR)
HRの領域は幅が広いため、その全領域でその専門性を高めるのが非常に難しいです。
そのため、全社HRは各領域の機能組織を組成し専門性を高めていきます。
場合によっては専門性の高い機能が連携して課題に対応します。

②オペレーション(全社HR)
HR業務は非常に煩雑なオペレーションが発生します。そのオペレーションが各領域毎、もしくは領域をまたいで展開されるため全社HRが一括して運営管理することでコストメリットが生まれます。

①と②を組み合わせて全社HRは複数事業全体に関わる施策を展開します。
HRのセオリーをベースに組織課題の設定や解決を行なっていきます。

③編集(HRBP)
HRBPは全社HRの専門性やオペレーションを編集して活用しながら事業に最適化したHRを展開していきます。事業のセオリーをベースに組織課題を設定し、HRのアセットを活用し課題の解決を行います。

そもそもの課題設定の背景や組織のケイパビリティが異なるため施策のカニバリはあまり発生しません。むしろ、連携することで最大効果を生むと考えられます。
しかしながら、全社HRが①と②のケイパビリティを十分に持たない場合HRBPでそれらをカバーすることになるためカニバリが生まれます。
また、HRBPに編集能力がない場合、事業への最適化が行われないためHRBPの設置メリットがなくなります。

では、HRBPとは?

HRBPは、事業戦略に基づいた事業活動を可能にするための組織を整える事業部門の支援機能というのが今の答えです。(今後変わるかもしれない)
業務としてアプローチするのは組織全般ですが、戦略がなければ組織もないので戦略設計に介在することもあって良い機能だと考えています。

またHRBPの機能や全社HRとの関係から考えると、以下のような要件がチームに求められると思います。
✔︎ コンパクトなチームであること
✔︎ 個々のメンバーはHRの複数領域の知見を持っていること
✔︎ 事業戦略の実行を成果と考えること

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