容量市場の問題と近代国家システムの限界

容量市場のメインオークション約定結果が公表され、1.6兆円は衝撃的だの国民負担だのと騒がれているが、本当は関係者からすればすべてわかっていたことで、オープンなプロセスでルール設計の議論が行われており、手続き上はなんの問題もないし、将来電源の安定性確保はなんらかの形で必要なので、避けて通る事もできない。

制度に関してはu3iアドバイザーの戸田氏の解説が詳しい(やや詳し過ぎる)が、要するに容量市場は必ずしも石炭・原発の温存策ではなく、むしろ調整電源であるガス/石油火力(及び揚水水力や蓄電池等)のピーク/ミドル電源の安定性に寄与するという事。問題があるとすれば、控除率42%という経過措置や、逆数入札といった仕組みが複雑過ぎて、何が問題なのかがわかりにくいことが問題と言えよう。

しかし、自由化で設立を促してきた新電力(登録小売電気事業者、現在672社)を潰す効果がある事は間違いない。政府は一体全体競争させたいのかさせたくないのか。単に、行政が建前上安定供給を市場で担保するために業界が付き合わされてやらされているだけのようにも思えてしまう。

安定供給の仕組みを作る前に自由化したので(参入者はそれをわかっていたとはいえ)、フリーライダーがたくさん参入し、その後に制度を追加して梯子を外して排除するのは、健全な競争環境の設計とは思えない。

以下、電力自由化への文句(笑)と、犯人について、近代国家システムの欠陥と、エネルギーアナリストとしての覚悟について。作業中のコーヒー代として500円お願いします。

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