山崎貴が苦手な人にこそ観てほしいゴジラ-1.0
ありがとう。と感謝の言葉をまず述べる。
素晴らしいゴジラ映画を作ってくださって。
そして、国産ゴジラ映画をこんなに個性豊かにしてくださって。
僕は正直なところ、監督が山崎貴さんだということで不安も大きかった。
不安要素は山崎貴演出の特徴にある。僕が特に強く感じる特徴を3つだけ挙げる。
演技の過剰さ、芝居っぽい台詞回し、ストーリーの甘ったるさ。
これらの要素をここではまとめて「甘さ」と書かせてもらう。
この甘さは、苦手な人はとことん苦手だ。
ハマるときはハマるし、滑る時はとことん滑る。
僕もいくつかのハマった映画をのぞけば苦手な作品の方が多かった。
ところがである、国産ゴジラの最新作ということで初日初回に観たゴジラ-1.0。
山崎貴監督のこの「甘さ」がとことんハマった映画だった。
いや、むしろこの映画には山崎貴の「甘さ」が必須だったのですよ。
理由の一つはこの映画の舞台が終戦直後であることだ。
どん底の日本に襲いかかるゴジラによる大災害。
このゴジラがとことん怖い。
木製の小舟を追いかけてくるゴジラが怖い怖い。
新宿で熱戦吐くシーンなんてもう、怖い怖い怖い!
正に日本のVFXの第一人者山崎貴の本領発揮。
ここにこれ以上の厳しさはいらない。むしろ山崎貴の甘さこそが必要だった。
決して舌触りや喉ごしのいい映画ではない。
過剰な厳しさと過剰な甘さがツンツン尖りあっている歪な映画だ。
だがそれがいい。
山崎貴監督が苦手と感じている人にこそ、観てほしい。
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