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ストレートにシン・仮面ライダーの凄さを書く

他人の感じ方を非難してばかりもなんなんで、ストレートに素晴らしいと思ったことを書く。
でも書きにくい。
なぜなら映画は映画だからで、言語化できないから映画として作っているのだ。

文章にすると、チープになってしまう。
短い文章なら単純になるし、長く書けば書いたで映画からどんどん離れてしまう。
映画のストーリーを紹介することもしたくない。

だってそれは映画ではないから。映画は映像と音声で伝えるもの。
文章で映画のストーリーを紹介するのはアホらしいと思ってる。
本音は映画を知りたければ映画を見ろ!ってことです。

なんだけれども、素晴らしさを伝えてこの映画を多くの人に見てほしい。
僕が伝える方法は文章しかない。
オマージュとか元ネタとか同監督作品とかには触れずに、このシン・仮面ライダーという映画一本についてだけ書く。

1 主人公がすばらしい。

主人公の本郷猛は優しすぎる男。序盤はそれがヒーローとしての欠点になる。
それでも無理をしてヒーローの役割を果たしていく。
改造によって変わってしまった自分の顔と対面する冒頭は衝撃的だ。
何よりも凄いのは彼の優しさが最後までそのままであること。
力のない愛は無力だが、愛のない力は暴力だ。

2 ヒロインがすばらしい

非人間的なヒロイン。人間とAIの合いの子。
その彼女が徐々に人間になっていく過程。
早回しで行間を飛ばしていく映画なので、初見では心変わりをしていく過程に気づきにくいかもしれない。
だけれども、彼女が徐々に心を開いて人間に近づく瞬間は全て描かれている。

3 敵役が素晴らしい

ショッカーという集団。AIが構築した幸福を追求する団体。
つまりはAIに振り回されている我々のこと。僕らはみんなショッカーだ。
ショッカーのSはSustainable。SDG`sへの皮肉ともとれる。

6人の上級幹部は極めて個人的でそれぞれバラバラの幸福を追求する。
少数派に合わせて社会を変えるポリコレ問題と似ている。
多様性が重視される現代社会のカリカチュア。

サソリオーグは自身の力を発揮することが幸せ。具体的には自らの手で人を殺めること。
コウモリオーグは選民思想。病気から生き残った強い個体だけで理想社会を目指す。
サソリオーグは快楽が全て。自らの快楽のためにだけ生きている。
ハチオーグは支配することが幸福。奴隷には奴隷の幸せがあるでしょうと。
カマキリカメレオンは復讐が善。善を成すことが幸せ。
そして肉体がなくなれば暴力もなくなるというチョウオーグ。全人類が精神だけになり誤解なく分かり合えることが幸せ。

敵役が出る順番がよく練られている。
最初のクモオーグは誰もがわかる悪いことを幸せにしている。
だけれども、次々出てくる怪人の幸せがだんだん一般人に理解可能なものに近づいてくる。そこが怖い。
最後のチョウオーグが一番理解できそうな気もするんだけれど、そんな自分が一番怖くなる。

4 バトルが素晴らしい

2時間中に8回もあるバトルシーンの演出が全て違う。

最初のクモオーグとのバトルは昔のテレビの正統進化版。
2番目のコウモリオーグは格好悪い怪人。一発でケリがつく爽快さ。
3番目のサソリオーグはギャグシーン。だけれどもストーリー上極めて重要。
4番目のハチオーグ。前半は任侠映画の伝統的な殺陣。後半は超格好いい超高速CGバトル。
5番目はライダーvsライダー。仮面ライダーがバッタであることがよくわかるピョンピョン跳ねながらの空中戦。
6番目、初めて2号ライダーが人類の味方としてカマキリカメレオンオーグを倒す。クセの強いカマキリカメレオンを2号が力強さで圧倒する。
7番目は11人の敵ライダーとの戦い。バイクで追ってくる敵集団をフルCGで描くことで、一糸乱れぬ集団の不気味さが伝わってくる。そしてダブルライダーキック炸裂!
ラストは本編のラスボス、チョウオーグにして仮面ライダ−0号と。どんなにすごいバトルをするのかと思いきや…最後にこれをするってとんでもなく凄いです。

全てのバトルが全て違う演出。
単調になりがちなヒーロー映画に起伏とアクセントを付けている。
とんでもなく凄い。(2回目)

5 ファーストシーンとロケーションとラストシーンがすばらしい

全てのシーンのロケーションがとんでもなく綺麗。
ファーストシーンはクネクネした山道。爆音で壁のようなトラック2台に追われ奥から手前に向かってくるバイク。
すごく窮屈な始まりかた。

対してラストシーン。
広々とした海上の一本道を手前から奥に走り去っていくバイク。
ファーストシーンと反対に、すごく自由を感じる。

その映像はポスターのコピーにもある「継承」そのもの。
仮面ライダーが始まった歴史と、これからも続いていく歴史。
セリフと映像と音楽の相乗効果。

映画史上屈指の爽やかな終わり方。
ロケ地は角島大橋。
サイクロン号にまたがったライダーが角島に向けて走っていく。

「角島には灯台とタコ焼き屋しかないけど、ライダーは何しに行ったんだ?観光?」
「灯台かタコ焼き屋がショッカー(コブラオーグ)の秘密基地やからに決まってる!」(?)

まだまだ書くことありそうな気がするけど、今日はこの辺で。

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