見出し画像

事業再構築補助金事業計画の実例解説その1

(1)事業再構築補助金に我が家で申請してみました

●事業再構築補助金のお手伝いをしているコンサルタントです。これまで色々な補助金5億円以上の獲得実績と100社以上のコンサルティングの経験があります。
事業再構築補助金には2度、うちの奥さんのエステマッサージサロンの事業転換で申請しました。事業再構築補助金がほしかったわけでなく、2021年に出た新しい事業再構築補助金を研究してみたかったからです。

●事業再構築補助金1次公募では「里山空間で週末プロ農家貸し農園サービス」で申請して落ちました!

●事業再構築補助金2次公募では「有機農法ウコンの六次産業化による美容健康ライフスタイルの体験・教育事業」で採択されました。
この記事ではその中から「特にここが点数の分かれる箇所だ」と考えられる5つのポイントを抜き出しました。

●この5つのポイントに気をつけて事業再構築補助金の申請にチャレンジしたら、採択の確率はかなり上がると思います。
がんばってください。
応援しています。

(2)事業再構築補助金「思い切った大胆な事業転換」

●「市場ニーズや自社の強みを踏まえ、シナジー効果、「選択と集中」を戦略的に検討している」ことを審査員に伝えます。
その場面をわが家の採択された申請書から抜き出してみます。

●「現状の強み:ウコン活用美容法とウコン活用食生活のノウハウと指導経験を持つ
・代表者は2018年にウコンの薬効を知り、ウコンオイルやウコンパックを作ってエステとマッサージに使うようになった。またウコンライス等のレシピを工夫、ウコンパックなどのウコンを用いた美容健康ライフスタイルを開発し、そのノウハウをまとめた120ページのテキストも作ってお客様を教育してきたので、顧客から「ウコンの先生」と呼ばれている。
・ウコンを外部から買い求めていたが自分で有機栽培したウコンを使いたくて、2年前から千葉県君津市と南房総市の2か所でウコン栽培をしてきて、2021年は25,000g、5年後の2026年には1,000,000gの収量予定である。」

●「経営資源の選択と集中の検討:ウコン活用ノウハウの教育と物販に集中する
・エステとマッサージ事業では対面の施術分野から撤退し、ウコン活用によるエステ、マッサージ、生活快適化のノウハウの教育と物販に集中する。自前の畑で有機栽培したウコンを使って美容オイルなどを手作りするオンラインスクールとそれに付随するネットショップを開設する。
・顧客は、現状は「40代~60代の、ストレス発散したい女性と癒されたい女性」であるが、新事業では「40代~60代の、免疫力を上げたい女性と癒されたい女性」とする。」

●どうでしょうか?
自社の強みを踏まえ、シナジー効果、「選択と集中」を戦略的に検討してるように見えますよね。

●じつはぼくは1次公募の落ちた「里山空間で週末プロ農家貸し農園サービス」のときには、このシナジー効果をまったく書かなかったんです。
そもそも思い切った大胆な事業転換に、シナジー効果なんて要らないじゃないですか?
ノウハウがなければ他社と組んでもいいし、人を迎え入れてもいい。
会社はミッションのために存在してるんですから、手段なんていくらでも変えていいです。
そもそもシナジー効果なんてこだわっていたら、事業の大胆な再構築は期待できません。

というのがぼくなりの考えですが、1次の審査員コメントで5回も「シナジー効果がない」と書かれてましたんで、事業再構築補助金の審査員の採点表では「シナジー効果」をとっても重視してると分かったわけです。
だから2次では点数を取るために上のように書きましたけど、実際のところをちょっとふくらまして書いてます。そう書かないと不採択になるからです。


(3)事業再構築補助金「事業性」

●「リスクの多面的な評価ができている」ことを審査員に伝えるのがポイントです。
その場面をわが家の採択された申請書から抜き出してみます。

●「自社の弱み、課題と対策:………加工体制と動画発信力とサイト構築運営力
・ウコンはパウダー形態で利用することが多い。収益力確保や価格優位性確保のためにパウダーの自社加工が必要と考え、すでにパウダー加工技術を修得しパウダーの試作も完了している。当方に加工技術を研修してくれた先は減圧平衡発熱乾燥機という日本に数十台しかない1千万円もする低温乾燥機を所有しており、乾燥工程はここに委託する。この乾燥機は、30度から40度の低温の短時間乾燥なので当社のパウダーは他社パウダーに比べて栄養効果が格段に高い。委託先とは業務委託契約を締結している。
・SNSでは動画が人気の決め手と考え、当補助事業で撮影編集機材をそろえる。ドローン撮影技術修得のため、代表者と夫の二人はドローン通信教育を受けている。
・これまで口コミに頼ってきたのでホームページをほとんど管理してこなかった。ネットショップも運営の経験がない。スタート時はビジュアルブランディングのプロを入れてロゴからホームページ、ネットショップ、SNSまで統一したイメージのコンテンツを準備する。以降の管理は自力で行うべく技術を知人から学んでいる。」

「脅威・リスクの評価と対策:自然災害対策及びウコンの健康被害情報の扱い等
・畑にはイノシシ、サル、鹿の獣害リスクがあるが電柵設置で対処している。
・台風19号のような壊滅的な台風被害がまた起きるとウコンの収穫ができなくなる。スクール用ウコンは外部から仕入れてしのぐがその年のコストの増大は避けられない。
・畑体験スクールは野外とは言え人が集まるのでソーシャルディスタンスに十分な注意を払う。
・一般にサブスクサービスでは届いた商品を使い切る前に次の商品が配送されてキャンセルになる場合が多い。パウダーは2年間保存できるので少々貯まってもよいし、申し出があれば定価で引き取ることでキャンセルを防ぐ。ウコンが持つクルクミンは家畜の飼料に混ぜて家畜の免疫力を上げるとして全農から販売されている。そこで、引き取ったパウダーは家畜用に再販売する商品に使えないか、今後研究を続ける。
・ウコンは肝機能を高めるが、すでに肝機能に障害のある人が摂取すると健康被害をもたらすことが報告されている。このことを徹底的に告知していく。
・2026年度には受講者への定期送付分だけで年間1,008,000gのウコンが必要となる。これは現在の畑面積で目いっぱいの生産量である。畑を拡大することは可能だがサービスレベル低下の危険があり、以降の畑の拡張と受講者募集は慎重に進める」

●どうでしょうか?リスクをこれでもかとあげまくることは大事なポイントです。

ぼくは1次公募の「里山空間で週末プロ農家貸し農園サービス」では、リスクのことはほんの3行くらいしか書きませんでした。すると1次が落ちたときの審査員コメントで3回「リスクの分析が足りない」と言われました。リスクの計算が足りなかったことはぼくの落ち度です。プロとして恥ずかしい限りです。

●実際のところ、リスク分析にはどんなに手間をかけてもかけすぎはありません。会社がのるかそるかの新事業です。その失敗リスクを事前に少しでもたくさん出しておいて、優先順位をつけて、今からつぶしていくことは、事業再構築補助金の申請のためばかりでなく、新規事業を成功させるためにも大事なことです。

事業再構築補助金事業計画の実例解説その2に続きます。

〇よかったなと思っていただけたらnoteやtwitterのフォローお願いします!
https://twitter.com/nory_oura

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?