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KANSOのモデルハウス完成(2021年4月)

KANSOの日本モデルハウス第1号、もるくす建築社(秋田県大仙市)の「美郷アトリエ」が、ほぼ予定どおり完成しました! 家具を入れる前の写真です。

人間が太古の昔から活用してきた自然素材の多面的な性能(蓄熱・断熱・調湿等)を十分に生かして、機械設備(冷暖房や機械換気、レンジフードなど)を使わないで機能するかどうかの実験を開始。

寒い時は、太陽光を取り入れて躯体に蓄熱させ、暑い時は遮光し、蓄熱体に素早く熱気を吸収させ、湿度(水蒸気)調整も、「呼吸」する躯体に大部分を委ね、新鮮な空気は、1日に2〜3回、人が人力で窓を全開にして取り入れます。6年間実証している元祖KANSOのスイス・アルプスのモデルハウスのように、機械に頼らず、室温も湿度も、年中、朝昼晩、快適なレベルを保てるか? 

このプロジェクトは、「断熱偏重」「機械で解決」の現代省エネ建築に対する私の数年来の疑念に起因しています。現代のスタンダードとは別の、快適でシンプルなソリューションを探し、勉強していたときに、スイス中部でサシャ・シェア(大工・建築士)氏が伴侶(構造士)と一緒に設計・建設した元祖KANSOに出会いました。

2年前に、10年以上にわたって高性能の省エネ建築を実践してきた「もるくす建築社」の佐藤欣裕氏が、私がブログに書いていたことに興味を持ち、数名の仲間と一緒に、ドイツとスイスの視察セミナーに参加されました。佐藤氏も、現代省エネ建築を実践していくなかで、私と同じような問題意識をずっと持っていました。スイスのシェア氏の建物を見学し、「これだ。これで僕ら同業の仲間が持ち続けてきた問題と課題が解決できるかもしれない」と衝撃と共に感銘を受け、数週間後には「僕の新しいオフィスを、シェアさんのコンセプトでつくりたい」と相談がありました。それから急ピッチで、佐藤+シェア+私(池田)で共同作業が始まりました。直接3人で会って話し合ったのはスイスで2日間だけ、あとは、コロナが加速させたオンラインコミュニケーションで、ここまで辿り着きました。コンセプトが「簡素」だからできたのだと思います。

これから、KANSOの哲学とコンセプトに同調される建主や設計士・工務店と一緒に、少しづつ広げていけたらと思っています。

私の専門は森林です。地域の多様な森林業と木材産業を支援している者として嬉しいのは、躯体のメインになる「簡素」な積層木造パネルを佐藤さんが開発したことです。底質材を使って、普通の工務店にある簡易な設備で、どこでも簡単に製作できます。

建物の作りも「簡素」なので、建主によるセルフビルドの幅も拡がります。早速、そういう問い合わせも来ています。

www.kanso-bau.com

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