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ピアノを始めた時の話

 私は小学校に入る年の、7歳の誕生日を迎える直前に映画「サウンドオブミュージック」を両親に連れられて観に行き、帰宅後直ぐにピアノをやりたい、買って欲しいと両親にねだったそうだ。
 多分これは生まれて初めてのおねだりだったと思う。両親は相談の末、YAMAHAでもKAWAIでもないKAISERと言うブランドのピアノを買ってくれた。おそらく安かったんだと思う。特別裕福な家ではなかったから。
 その後何十年も経って判る事だが、このピアノ製造はYAMAHAだけれど、販売が河合だったそう。両親は河合のピアノだと思っていたらしい。
当時住んでいた近所にはピアノ教室がなくて、販売店にピアノ家庭教師を紹介して貰い、ピアノを習う事になった。
 レッスン初日に、それまで誰からもピアノを教わった事もないのに「ドレミの歌」のメロディを一本指ではなく、ちゃんと運指をして弾いて見せ、先生吃驚。この子は天才かも知れないと、とても熱心に教えたそうだ。この時弾いたドレミの歌が、原曲通りのB♭だったのか、Cで弾いたかは憶えていないけれど、白鍵のみで弾いた様な気がする。
今思うと謎なのは、あの映画にピアノを弾き語るシーンはなかったはず。映画で使われる楽器はギターだったのに、私は何故ピアノを欲しがったのだろう。幼稚園にあったのはオルガンだったし、当時周囲に、ピアノは存在しなかったのに、何故私はピアノを弾きたがったのか。
 それはともかく、先生が熱心だった事がその後仇になる。ご多分に漏れず、教材はバイエル。このつまらない事つまらない事。数ヶ月で、私はレッスンとレッスンの間、全く練習をしない子供になってしまった。
 バイエルは練習嫌いの子供を製造する。

追記:更に思い出した。先生はドレミの歌を暫く教材にしていたんだった。でも私が直ぐに飽きてしまい、バイエルを使う事を私が希望したのだった。
つまり、自ら墓穴を掘ったのだ。
なんて事。





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