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短歌

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短歌
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#短歌

厭離穢土黄昏時は音もなくされど夜闇に復活の雲

君の往く路は少しく死にかけて手繰るざわめき霞にけりな

あとからとあとからとまたそよ風の心のすべていい日召すまま

見よやみよ皆面影の玉鬘古きみやこの望月ぞ繰る

風ひらき不動の巌色にみち垂直の時鏡かがやく

赦しなき夜間飛行は神くぐり近接の夏cirrusの丘

蒼穹を無情と知って何故に飛ぶ星ひとつだけ叫ぶ新月

またしても睫毛は汗を求めるかこの世の春も春に憩うか

語り得ぬ口からroll overの明日はすべてと色づくだろう

かなしみをあつめてすゞしすみだがわくろかみににてゆめにもにたり

若かりし胸に緋文字の愚かしさ白抜きの背はやがて消えゆく

現し世に産み落とされて人はみなそこに還るか翳の永遠

「薔薇」といううそをさけてはめがねからあれやこれやのあおさこぼるる

「愛しい」と言いかけ言葉なくしたりteardropらを喉通したり