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短歌

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2024年5月の記事一覧

赦しなき夜間飛行は神くぐり近接の夏cirrusの丘

蒼穹を無情と知って何故に飛ぶ星ひとつだけ叫ぶ新月

またしても睫毛は汗を求めるかこの世の春も春に憩うか

語り得ぬ口からroll overの明日はすべてと色づくだろう

かなしみをあつめてすゞしすみだがわくろかみににてゆめにもにたり

若かりし胸に緋文字の愚かしさ白抜きの背はやがて消えゆく

現し世に産み落とされて人はみなそこに還るか翳の永遠

「薔薇」といううそをさけてはめがねからあれやこれやのあおさこぼるる

「愛しい」と言いかけ言葉なくしたりteardropらを喉通したり

春雨の絶えずざわつく色を経て夜露のあなた残り香を聞く

日本語で泣けば傘指す波がいてその手に連れて想い出のひと

夕暮にこの世を照らす輝きは鼓動に変わる「まっすぐ君へ」

初恋を待ちて涼しきフィラメント木々と風との波長に同じ

天才は後ろ姿の稜線に羽ばたきもせず答えも出せず