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短歌

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2024年4月の記事一覧

「病みたさを見つめるべし」と春の日のHeartbreak染まずただよう

目には青葉男波女波に鷗あり夢の城には線の暴力

頭には灯りを捨てて甦る大人に見えた明日の陽の華

耳塞ぎ言葉を失くすたった今東京駅は完璧な空

「waiting for…」そこから先のブランクを前世の夜に忘れきて朝

「若さとは振り向かぬもの」それはまだ僕たちがただ若かった頃

補いも亡くしたもので繕えず音にぞ疎き氷の世界

春霞行き交う笑いその中に溜まる暁静と振り向く

尖端に戦くのにも虫がよく本日びりっけつを考える

虻となり罪の間に間に雨となるそうでなければ架けられぬ虹

陽と水面憎いすべての晴れ色に通りすがりは疲れて見えた

浅葱夢ただ浅いまま時は過ぎ皐月の末に逢はむとぞ思ふ

仮初の夜は安くも光ある明かりに群れる煙を浴びて

忘れ去る際に差し込む血肢の砂すべての罪は一瞬である