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短歌

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短歌
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2023年10月の記事一覧

越えもせず止められもせず愛の国想い出に人が住むということ

はじまりのおわりはいつも甘辛く「結えない髪を濡らすのは雨 」

北望み古の笑み追いかけて寒さの中に恋霞かな

薄暮から雲のはじまり踊り出す訳は聞けねど泣いては駄目さ

爪先を老いに浸して泣いているパラドックスなアラビアの夢

慟哭に「哀号」とルビ振られたり喧騒の蜘蛛這い巡ったり

「意気地無し」去る波音の種明かし世間体ごと罪な朝露

ろくすっぽ読めぬ美文に身が疼く季節外れの桜吹雪よ

失ったものしか永遠にならない足取り消すは愛ばかりなり