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短歌

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2023年8月の記事一覧

想像のさらに上から落ちる猫積乱雲にぶちの虹色

待ち人の情は青春を偲ばせる大人へのその先は知らない

薄墨を時の沸くまで苛め抜き言葉通りのセピアな手紙

そよそよと眠るひとりを沈ませてもだす衣で死なせてほしい

掴めないfalse dawnの仇役口付け一つ舌打ち一つ

土煙嗅がせるような国技館想いは遥かアマリロの風

名を呼んで茜の光それと影鬼事をして過ごす暮時

旅人に見初められない椰子の実は偶然一つ持とうともせず

新宿は返す光の行き違い時勢粧時の趨勢

頭から滴り落ちた合歓の花鼻腔くすぐる息もできない

残り火は格好つけて尽くそうか月は欠けたるほど美しい

程のよい夕立と我気が合わずロデオのように雨は踏むもの

浮き上がる背の香りが文字書きで歌人はすべてまだ夢の中

枠のないsummer sceneの脈動に真新しさの汗噴き滑る