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短歌

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2023年4月の記事一覧

つみのみはたれとはいはむかすがののみまもるべきはあきらめのつき

陽の光解いてしまった暁に夕紅と隣に暮れる

この世界去る人だけが決められるこの世に一人愛される人

奈落では知覚しきれぬ明と滅スポットライト輝く底で

無理矢理に開けている目の鈍き面つんざく破調それこそ合図

笑い合い一人泣くのは少し先君の名前をつぶやきながら

灯りとはなにと聞いてか三味の音はなにと見えてか夜鷹の星よ

「許されぬ世の中だから」主を失くし声奪われる赤いてのひら

人もなき里に響ける鴬の声届かしめ衣擦れの街

健康を朝の時間に化粧して今宵も好きな人と死にたい

部屋にいて移る動画もそのままに端にちらつく「雨はやみます」

顔がある他人に恋を読まれたり踏まれたりしてまだ夜明け前

茜さす時の手綱を持ちそびれ只喧騒の吹きすさびゆく

日がな行く猫の瞳を解き明かす火は歌に連れ異な歌に連れ