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短歌

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2023年2月の記事一覧

欺かれ雨の粒ども数ふれど晴れてしまえばまた負けにゆく

焼け落ちたウッドデッキの学習帳言葉どおりの無いものねだり

向日葵を涯てに望むる軒の下てるてる坊主ふられ夢見る

はじめてを失う度にきみなりのこの夜の神は消えてゆきます

光彩は陰の主を食い尽くす風流でしょう?許されぬもの

生業をただうっかりで選ぶ者愚かな恋を笑わない者

教科書のこの新しさこの古さこのつまらなさこの春のあさ

乱れ髪だぶる視界のカシオペア観測されぬ藍の光源

何一つ柳のように持たないでなのにあなたの夜の暗さよ

夜だけが先に季節を狩りに行く叫び舞うよな花の散るらん

月をよみはれ待ちこがる床しげに目覚まし草ははづかしの森

今日もまた池に自己愛浮き沈み裏っ返しの望郷の空

葉の繁り分け入るほどに甘美かな夢路は一縷藤の花びら

夜めぐり体は緩む朝までも耳暖かく汗に罪なし