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短歌

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短歌
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2023年1月の記事一覧

この世ごとわずかに揺れる初めての人と人との仮定の罪よ

横になり溢れるものは果てるまで枕を包む一人の呪文

血を流す友の理由を押しつけて血に染まる我幾度夢みゆ

幼子のいかなる音も聞かれない傷むのだ我が真砂の日々が

夕焼けと引換えにして我が儘のそのままの罪言わないつもり?

瞼から仮の光を待ちわびて平熱の君描ききるまで

窓ひとつ眩しく過ぎる幻を疲れ果ててはここで見ていた

明日香さす宵の暇は艶やかに夢に注ぐより堪えてあやしく

春日山末尾のゆめも遠からじ北の巣ひふみあわれ鐘鳴る

閉じ込めた命の答えふうわりと風よふけふけ風よふけふけ

ただ一つたったひとつが褪せるとき君には淡くそういてほしい

文化には先駆者たちが呪詛残す電子でさえも古戦場とは

永遠の嘘を閉じ込めエメラルド喉に涙の通過した雲

嘘ひとつ溢さぬほどのまなじりも星座の前に遊びふられて